2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁性金属元素ブロックの三次元空間制御による新機能性高分子の創成
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
24102012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 靖哉 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80324797)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子 / 光機能 / 希土類 |
Research Abstract |
本研究では、特異的な光磁気機能発現が期待される磁性金属元素ブロックを高分子中で三次元空間制御することで、従来の光磁気機能物質の性能を凌駕する新型高分子の創成を行う。具体的には、以下の検討を研究期間内に行い、現在まで以下に示す研究成果を得た。 1)機能性分子で連結したEuX元素ブロック高分子の開発:EuX元素ブロックの三次元空間制御と新たな機能を両立するためには、EuXを連結する機能分子の開発が鍵になる。EuXはチオール基によって容易に連結することができるため、機能分子パーツにチオールが連結した新規な機能連結ユニットの検討を行った。具体的には、発光特性を示すナフタレン部位にアルカンジチールを取り付けた分子を合成し、この連結分子を用いてEuX元素ブロック高分子の合成を行った。連結部を用いた会合体形成を発光スペクトル測定によって観察することに成功した。さらに、EuSと金ナノ粒子を有機分子で連結・高分子化したものは、金プラズモンの電場増強によりEuSの光磁気特性が向上することを明らかにした。また、常磁性金属イオンをドープはEuSの光磁気特性向上に効果的であることもわかった。 2)希土類錯体を配列した錯体元素ブロック高分子の開発:強発光希土類錯体を三次元空間に配列することによって、錯体単独では不可能な新しい機能が発現する。ここでは、赤色発光するEu(III)錯体および緑色発光するTb(III)錯体を配列させた新しい元素ブロック高分子の合成を検討した。具体的には、Eu(III)錯体とTb(III)錯体を1:99に比で配列させることにより、200Kでは緑、300Kでは黄色、400Kではオレンジ、 そして500Kでは赤に発光する新しい物質(カメレオン発光体)を創成することに成功した。また、1)希土類錯体の配位構造と発光特性解明の研究、および2)希土類錯体を太陽電池に応用する研究も進展し、新しい希土類錯体ポリマー開拓に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
希土類ナノ結晶を単位とする元素ブロックを有機分子により連結・配列させることに成功し、光磁気機能を飛躍的に高めることに成功した。さらに、希土類錯体を構成単位とする元素ブロックを有機配位子で連結させた系では、錯体単独では発現できない光機能(発光色変化における感温特性)を発現させることに成功した。以上の結果より、当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの研究により、希土類ナノ結晶による元素ブロック、および希土類錯体による元素ブロックに関する研究が予定よりも速く進行した。平成26年度以降は、これらの研究成果に基づき、以下の研究計画を考えている。 無機ナノ粒子と希土類錯体が連結した新型希土類元素ブロック:本研究では、この希土類錯体ポリマーをさらに進化させるため、Eu(III)錯体の連結パーツが無機ナノ粒子で構成されるハイブリッド型希土類錯体ポリマーの検討を行う。ナノ粒子とEu(III)錯体を三次元的に架橋し、この三次元架橋構造の形成を行う。この錯体・無機ハイブリッドの新型元素ブロックは熱耐久性向上だけでなく無放射失活過程も抑制された強発光体になることが期待される。本研究を行うにあたり、まずCaSナノ結晶とEu(III)錯体の連結を試みる。この2つの物質をさせるため、Eu(III)錯体内にチオール基(SH基)を導入する。CaSナノ結晶は、Ca錯体を熱還元反応するkじょとにより合成する。ナノ結晶の粒径は反応時間によって制御する。得られたCaSナノ結晶とチオール導入Eu(III)錯体を自己会合により連結させる。また、ナノ結晶に関してはZnS半導体ナノ結晶の検討も行う。半導体ナノ結晶とEu(III)錯体から構成される元素ブロック高分子の光機能特性を明らかにし、新しい機能物質創成を行う。
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Research Products
(13 results)