2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
24103003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 道利 広島大学, 宇宙科学センター, 教授 (90270446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 耕司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50221825)
柳澤 顕史 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 助教 (90311183)
本原 顕太郎 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343102)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 光学赤外線天文学 / 電波天文学 / 重力波天体 / 突発天体 / 天文観測装置開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
miniTAO望遠鏡/近赤外線カメラANIRの観測ランを2回行い、近傍スターバースト銀河のダストに埋もれた超新星のサーベイを進めた。木曽シュミット望遠鏡では木曽観測所広視野カメラKWFCによる近傍超新星サーベイ(KISS)を進めた。木曽観測所1.05mシュミット望遠鏡の駆動系の更新を行った。木曽シュミット望遠鏡の6度角の視野を覆う次世代超大型カメラの基礎開発の一環として、業務用大型CMOSセンサの性能評価を行い、ノイズ及び感度の評価を行った。 岡山188㎝及び岡山3.8m新望遠鏡に装着する、面分光ユニットの光学設計、面分光装置入射部の光ファイバーバンドルの特性テスト等を主に行った。前者については、光ファイバーバンドルに入射する前の前置光学系の設計を行い可能な解を得た。後者については試験用の光ファイバーバンドルを用いて、フィリングファクター、透過率やクロストークなどについて測定を行い、使用に十分耐えうることを実証した。また、これらの数字をもとに、予想感度計算も行った。 近赤外超広視野カメラの視野全域にわたって良好な結像性能を得るために、光学系の調整を実施し、光軸を計測した。主鏡面を保護膜付きコートを施した。2MASS の画像をリファレンスとして観測画像から差し引くDIA法を開発し、全天から変光天体の抽出が可能となった。PCとストレージを購入し、近赤外超広視野カメラのデータ解析パイプラインと観測データの保存環境を構築した。 50cmロボット望遠鏡について、光学設計を行った。この望遠鏡に搭載する可視三色同時カメラの概念設計を行い、検出器として用いる高性能冷却CCDカメラを2台購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、重力波天体の光赤外対応現象探索体制を整えるため、さまざまな装置開発に重点を置いて研究を行った。各装置開発は年度当初に設定した開発目標をほぼ達成しており、大きな遅れは見られない。 また、同時並行して推進している、突発天体の観測研究においては、木曾観測所における超新星探索計画KISSが順調な立ち上がりを見せており、広島大学のかなた望遠鏡との共同観測も進展している。かなた望遠鏡では超新星の他にブレーザー天体やガンマ線バーストの観測でも成果をあげた。ガンマ線バーストに関しては、岡山天体物理観測所に設置されたMITSuME望遠鏡によって、可視残光の自動追跡観測を進め、25本の観測レポートを国際観測ネットワークに配信することができた。グループ全体で、突発天体研究に関して10本の査読論文を出版しており、十分な科学的成果があがっていると判断される。 以上をもって、計画は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の取り組みを通して、重力波天体の光赤外対応現象の探索システムの構築を進めるとともに、既存の望遠鏡群を用いて、光赤外電波における突発天体の観測的研究を推進していく。 木曽観測所シュミット望遠鏡の駆動系の調整と制御ソフトウエア更新を行う。木曽観測所広視野カメラKWFCを用いたKISSサーベイを引き続き行う。miniTAO望遠鏡による近傍銀河及び系内の星形成領域の近赤外線観測を進め、ダストに埋もれた超新星のサーベイと、超新星のprogenitor候補探査を行う。 面分光ユニットの前置光学系の設計・製作を行う。分光器への入射部にあたるマイクロレンズアレイの検討を行い購入する。実際に使用するファイバーバンドルの口径比劣化試験等を行い、適切な光ファイバーバンドルを購入して、面分光ユニット全体を設計・製作する。また、岡山188cmへの取り付け試験を行う。他の望遠鏡による面分光観測を経験し、面分光観測の経験を積むようにすることにも努力する。 近赤外超広視野カメラの定常的な観測を開始し、突発天体の割り込み観測が出来るように制御ソフトウエアを完成させる。 観測データのパイプライン処理環境を構築する。 50㎝ロボット望遠鏡を製作する。設置場所として検討している中国のサイトの調査を進め、中国国家天文台との研究協力の協議を進める。並行して可視三色同時カメラの開発を行う。
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Research Products
(40 results)