2012 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Data Analysis of Gravitational Wave Searches Link up with Various Observations
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
24103005
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
神田 展行 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50251484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田越 秀行 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30311765)
高橋 弘毅 山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (40419693)
大原 謙一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00183765)
伊藤 洋介 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60443983)
端山 和大 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 研究員 (70570646) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 重力波観測 / コンパクト連星合体 / 超新星 / 宇宙物理 / 一般相対性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な進展を記す。 (1)重力波探索データ解析の開発環境としての計算機システムを導入し、2拠点をVPNで接続して仮想的に一体化した環境を開発した。解析ソフトウエアの仕様・規約についての整備を始めた。また探索の対象となる重力波観測実験KAGRAのデータについて、本研究の短時間解析に特化した転送についての検討にはいった。このVPN環境に統合することで、速度や利便性を持たせることを考えている。 (2)短時間での到来方向推定のために全天マップのマスク処理の検討を開始した。 (3)コンパクト連星合体は検出が有望な重力波源で、波形から質量などのパラメーターが推定できる。理論予想の波形をより精度よく高次の補正を含むFull Waveform にしてのパラメーター推定の精度の検討が進んだ。 (4)時系列において遷移的な信号を抽出できるHilbert-Huang変換を重力波解析に応用する研究が進んだ。数値シミュレーションにより、注入した重力波の検出やfalse alarmを見積もった。 (5)予想スペクトルと過去のTAMAデータを参考に、KAGRAの雑音のシミュレーターの開発が進んだ。 (6)異方性や天球上に局在する背景重力波を探索する解析計算であるラジオメトリのシミュレーションを行った。処理の高速化を念頭に、ラジオメトリフィルタのGPGPU上での実装が進んだ。これは他の探索解析における高速化にも役立つと思われる。 (7)宇宙紐(cosmic string)はcuspやkinkと呼ばれる構造からスパイク波形の重力波をだすことが予想されている。数値的に宇宙紐からの重力波を生成し、観測される場合の検討が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初(2012)年度および第2年度は、重力波探索解析をおこなうための準備段階である。解析システムのソフトウエアの開発やハードウエアの仕様細部のデザインをおこなうこと、海外の重力波研究グループとの共同解析を視野に入れたソフトウエアやハードウエアの準備が中心である。 最初に着手しなければならないのは、こうした作業をおこなう計算機環境の構築であったが、2012年度は2拠点をVPNで仮想的に一体化した環境を導入できた。また解析ソフトウエアについての仕様や規約策定も進んでおり、初年度に着手したいと考える内容は概ね順調に進みつつある。 代表者、分担者が他機関にまたがり、十分に連携した研究体制を整備することも本計画研究の達成には重要なことである。この点についても、上記の仮想的に一体化した計算機システムの導入や、直接に顔を合わせての打ち合わせだけでなく毎週のTV会議を導入する等して、常時研究の連携ができる体制を整備できた。また若手の育成も重要な課題であるが、2012年度中に2013年度からの研究員(4名)を公募して選考を行い、採用を決めた。この点においても、順調に進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年は、重力波探索パイプラインの作成に着手し、ソフトウエア自体の骨格やおおまかな動作を達成することを目指す。パイプラインは、コンパクト連星合体と超新星バーストに起源の重力波探索のものが最優先である。 一方で、検出器状態(主に雑音、運転状態のこと)を早期に診断するロジックとソフトウエアを探索システムの一部として組み入れ、データの質を判断できるようにする必要がある。KAGRAで開発している内容などを取り入れてゆく。 2014年には、十分な処理能力をもった計算機システムを導入して、探索パイプラインを実装する。これによって、実際の観測データに対応できるハードウエアがまず揃う。ただし、データ記録容量や計算能力の追加は、2015-16年度にかけて順次行い、iKAGRAや海外観測のデータへ対応する。 KAGRA以外の海外の重力波実験のデータも必要であり、それらの観測グループとの交渉は以前からあるが、テストデータの使用を2014年度からすすめたいと考えている。 他の計画研究と連携した研究課題が既にいくつか着手されている。A03のニュートリノ観測、A05の理論グループの予想と連携した研究について、観測(可能性)の評価となるような結果を第2、3年度くらいで求めたい。
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