2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Nuclear matter in neutron stars investigated by experiments and astronomical observations |
Project/Area Number |
24105004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 哲也 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50219896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家城 和夫 立教大学, 理学部, 教授 (10159577)
磯部 忠昭 独立行政法人理化学研究所, RI物理研究室, 研究員 (40463880)
川畑 貴裕 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359645)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 原子核物質の状態方程式 / 対称エネルギー / 荷電粒子検出器 / 高密度読み出し回路 |
Research Abstract |
重イオン衝突実験の実験データから状態方程式の情報を導出するにあたって、“輸送方程式”がその中核となる理論計算を使って行うことになるが、計算結果が十分信頼できるかが常に問題になる。この点をチェックするため、まず通常核密度領域での“対称エネルギー”の情報を重イオン衝突実験から導いた場合と、精密な理論構造計算が可能な鉛208の中性子スキンの厚さを使って導いた場合とについて海外の研究者たちと一緒に比較検討してみた。結果はPhys. Rev. C 86, 015803 (2012)にまとめたが、重イオン衝突実験から得た“対称エネルギー”を密度の関数として通常密度周りで展開した時の0次、1次の係数が、他の方法で求めたものとよく一致していることが分かった。 このプロジェクトの明暗を決める多重飛跡検出器(TPC)の開発は、アメリカDOEの予算も使って、ミシガン州立大学の共同研究者が中心になって進めているが、2012年度初めに基本設計が終わり、順次部品の製作を始めた。そして2013年1月に国際コラボレーション集会をミシガンで開き、製作の進捗状況についてDOEからのレビューを受け、良好との評価を得た。 TPCからの1万チャンネルを超える信号の処理をする回路として、フランス、サクレーを中心に国際共同でGET(General Electronics for TPC)を開発して来たが、我々日本人グループは実際の実験状況に近い環境での動作テストを行った。2013年3月初め、小型のTPCを放射線医学総合研究所HIMACに持ち込み、核子当り400 MeVの132Xeビームを直接TPCに入射させてGET試作品のテストを実施した。その際、TPCと読み出し回路系を安定に動作させるために、中心衝突事象が起こった時にだけ高電圧を検出器に供給するGating Grid Driver (GGD)試作品のテストも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、多重粒子軌跡検出器用の読み出し回路の要となるAGETチップ(バージョン1)を必要数調達するための契約準備をすすめ、平成24年度末までにAGETチップのテストに必要なフロントエンド基板AsAdやデータ集積基板を入手して、チップ自体とAsAdのテストを進める予定であった。しかし、平成24年11月ごろ量産の準備を進めていたチップに想定外のバグが残っていることが分かったため、ただちにこの問題に対処し始めたが、量産が半年ぐらい遅れることになってしまった。計画の遅れを最小限にするため、急遽、ベータバージョンのAGETが搭載されたAsAdを複数製作し、基板自体の性能評価のためテスト用TPCを安定に動作させるための環境整備を行った。そののちAsAdの試作品をTPCに装着し、加速器を使って現実的な環境下での動作テストを行い、想定された性能があることの確認に成功した。このテスト実験結果が分かった段階でただちに最終的に必要となる数のチップとAsAdの調達が行えるよう、平成25年初頭に必要な予算の次年度への繰り越しを申請したため、平成24年度に計画していたこれらの物品調達を約半年の遅れで実施することが出来た。当初からTPCを使った実験の準備を平成27年度までに完了する予定を立て、必要物品調達を3年次に振り分けて行うことにしていたので、この遅れは致命的だとは考えていない。また、遅れをより短くするため最終版のAsAdについては日本国内での製作を見送り、フランスで製作実績のある会社に依頼することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
国際協力のもとに装置の開発を進める際、今回遭遇したように不測の事態が発生した場合日本人グループだけの努力では計画を軌道に乗せることは困難であるので、今後はSkypeなどのインターネット環境を利用してより密な連絡体制を整え、情報の共有を図りたい。平成24年度の計画の一部は、予算を繰り越すことにより、部分的に平成25年度の計画と並行して進めることになってしまったが、海外共同研究者の全面的協力で、平成24年度内に調達し平成25年度当初から使用を計画していた機材の一部を借り出すことが出来、さらなる計画の遅れを防ぐことが出来た。今後は研究計画を立てる際に、2重3重の安全策を講じるようにしたいと思う。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Constraints on the symmetry energy and neutron skins from experiments and theory2012
Author(s)
M.B. Tsang, J.R. Stone, F. Camera, P. Danielewicz, S. Gandilfi, K. Hebeler, C.J. Horowitz, Jenny Lee, W.G. Lynch, Z. Kohley, R. Lemmon, P. Moller, T. Murakami, S. Riordan, X. Roca-Maza, F. Sammarruca, A.W. Steiner, I. Vidafia, and S.J. Yennello
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Journal Title
Physical Review C
Volume: 86
Pages: 015803
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] GEM-MSTPC:An active-target type detector in low-pressure He/CO2 mixed gas2012
Author(s)
H. Ishiyama, K. Yamaguchi, Y. Mizoi, Y.X.Watanabe, S.K. Das, T. Hashimoto, H. Miyatake, Y. Hirayama, N. Imai, M. Oyaizu, S.C. Jeong, T. Fukuda, S. Mitsuoka, H. Makii, and T. Sato
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Journal Title
Journal of Instrumentation
Volume: 7
Pages: C03036
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] SAMURAI-TPC2013
Author(s)
T. Murakami
Organizer
GET General Meeting V
Place of Presentation
Asnelles-sur-Mer, France
Year and Date
20130129-20130201
Invited
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