2012 Fiscal Year Annual Research Report
Analyzing the limits of computation using large scale linear programming
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
24106006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Avis David 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90584110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 一幸 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30282031)
上野 賢哉 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70586081)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(ベルギー・ドイツ) |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年2月18日に,逆探索木を切り取る新しいコードなどいくつかの改良点を含むplrs 5.0をリリースした.計算機実験のための64コアLinux計算機を購入した.通常ならば解くのに1年かそれ以上に要する問題に対して,10倍から30倍の速度向上を達成した.また,Hans Tiwaryを10月1日から11月30日まで招聘し,Extension complexityに関して共同研究を行った.その結果,平面キュービックグラフのサスペンションへの最大カット,部分和問題,そして3次元マッチングを含む多くの問題に対するExtension Complexityの指数下界を証明することができた.これに関する論文を執筆し,ICALP2013に採択された. 論理関数の複雑さの解析において重要な,様々な尺度やその相互の関係について精査した.特に,論理関数を行列で表現した場合の階数や,入力を変化させたときの出力の変化のし易さを表す指標である感受度について重点的に研究を行った.その結果,上記の指標の評価が,ある種のグラフの効率的な分解を求めることと等価であることを明らかにするとともに,このような分解を実際に求めることに成功した.また,ある制約を満たした論理式について,感受度が最大となる式の構造を,理論的手法と,計算機を用いた列挙的手法の組み合わせにより明らかにすることに成功した.さらに,合成や再帰を用いて構成される論理関数の複雑さを調べ,実際に計算限界解析法を適用した際の証明限界について明らかにした. 他班との連携を深めるためにELC Mini-Workshop(B01)を9月5日~7日に京都大学にて,ELC Mini-Workshop(B02,B03)を10月28日~29日に仙台市にて開催し,研究課題を提示する発表を行うとともに討論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた研究成果は,プロジェクトのゴールへ向けて重要な進展となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は,大規模な計算機実験による解析を積極的に取り入れた,数理計画手法をコア技術とする新たな計算限界解析手法の構築を目指すものである.幾何的数理手法や多面体理論に実績を持つAvisと計算限界解析を専門とする天野,上野に加え研究協力者として海外から参画する福田,Deza,Friedmann,Fiorini,Tiwaryの連携により,昨年度に引き続いて「組合わせ最適化問題の計算限界解析法の構築」と「計算限界証明と緩和問題の強度解析」の二つの柱を軸に研究を推進していく予定である. 一つ目の柱に関しては、数理計画モデル上で記述するときの許容表現の強度と記述長を明らかにしていくため,主として以下のような観点から研究を行う予定である.理想を言えば,全てのNP困難な問題に対して指数の次元拡張複雑さを示したいのだが,2012年に得られたFioriniらによる結果は個々のNP困難な問題を解析する必要があるのが現状である.そこで,問題Aから問題Bへと自動的にKarp還元する方法を探したいのだが,昨年度の研究において研究代表者であるAvisは研究協力者として招聘したTiwaryとともに,Karp還元の特定の道具に対して一定の進展を与えた.本年度の計画においては,この方法をさらに拡張することを目標とする.また,指数の次元拡張複雑さに関する結果を多項式時間オラクルで分離できる指数サイズの面クラスに拡張していくことを目指す. 二つめの柱に関しては,昨年度に引き続いて,計算限界を与えるための緩和問題が証明可能な下界の強さと緩和問題自身の計算量のトレードオフの関係に焦点を当て,これまでに開発されてきた手法を系統立てて分析することを通じて,新たな計算限界解析法の開発に必要な技術要素をピックアップする.
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