2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
24106007
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 豪 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40312631)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報プリンシプル研究系, 准教授 (00302977)
堀山 貴史 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (60314530)
渋谷 哲朗 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60396893)
|
Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 計算理論 / データ構造 / アルゴリズム理論 / データ圧縮 / 列挙アルゴリズム / 計算限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果としては、直接関係するものだけで13編の学術論文と10件の学会発表を行った。研究計画にあるテーマ別に分けると、下記のようになる。 計算限界手法の調査と研究連携: 下記のような活動を行った1.ワークショップ開催:2012年10月28-29にELCミニワークショップを開催した。講演者は 徳山豪 (東北大学), 上野賢哉 (京都大学), Hans Tiwary (ULB), 堀山貴史 (埼玉大学), Problem session話題提供:宇野毅明 (NII), 渋谷哲朗 (東京大学), David Avis (京都大学),Peter Eades (シドニー大学)、参加者は40名ほどであった。2.徳山はGCT(Geometric Complexity Theory)の展開のために、純粋数学の群論グループ(大阪大学有木教授、東京大学松本准教授など10名)との共同研究体制を作り、3月のELCシンポジウムのサテライトワークショップとして、東京、京都でGCTの専門家、計算理論研究者、数学グループの合同研究会を開催した。3.分担者の宇野は、計画通り列挙合宿を主催し、若手研究者を交えた計画推進を行っている。 データ検索・圧縮における構造化の探求:宇野は現在の列挙アルゴリズムについての特色のサーベイを行った。渋谷と連携研究者の定兼は、ダイナミックな簡潔木構造に完全な動的機能を与える新しい手法を開発した。 渋谷は、3次元タンパク質の構造検索プログラムの改良に成功した。 構造列挙のモデル化とアルゴリズム:堀山は展開図列挙検索の新しい手法を開発し、その成果を、展開図検索システムとして公開した。 また、徳山ー堀山ー宇野は、他の研究者と共同で、新しい画像処理アルゴリズムの基盤になる手法の開発を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
GCT(Geometric Complexity Theory)に関して、純粋数学グループとの連携に成功したことは、予想を超える大きな成果であり、本計画研究のみならず、新学術領域全体に対して、大きな意義があった。また、B02 班と合同でワークショップを開催し、共同研究および国際共同研究の体制も計画通り順調に進んでいる。 具体的な研究成果としては、堀山の展開図列挙検索システムは、当初のスケールを超え、ゼタスケールを超える数の展開図を圧縮列挙して検索することに成功し、これは本計画班の目的である「計算限界手法のデータ構造への利用」の一つのショーケースとして、初年度から一般向けにインパクトのある成果を上げることができたと考えており、これも当初の計画を上回る成果である。また、定兼による簡潔データ構造の研究(ACM Trasaction on Algorithms)など、重要な専門誌や国際会議での発表があり、論文発表や研究会、国際会議等での発表は当初の計画通り順調に行われている。 広報活動に関しても、徳山は情報処理学会機関誌(情報処理)への解説記事を作成し、2013年4月号、5月号に連載され、また、科学者の卵セミナーなど、若年層への広報も行い、成果の影響力を強める活動を行っている。なお、研究代表者の徳山は電子情報通信学会のフェローを今年度受賞し、外部評価も高い。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、下記の3つの活動を柱に研究実施の枠組みと役割分担を構成する。また、本年度からは計画研究に関連した公募研究との共同研究体制を確立する。
計算限界手法の調査と研究連携: 徳山は計算限界における手法の洗い出しを他の計画研究班と共同で行い、データ検索や構造列挙への利用の方向性と可能性を組織的に行い体系化する。研究分担者の宇野は関連する国内の若手研究者をまとめ、列挙合宿、若手ワークショップの開催を先導する。渋谷は、生命科学の研究者と協力し、現在の学術での重要課題である蛋白質やゲノムの高機能データベースの構築を本研究のショーケースとして実施する役割を担う。また、堀山と定兼は徳山に協力し、ビッグデータを扱うe-サイエンスでの革新的アルゴリズム研究(学術会議大型研究マスタープランテーマ)とのリンクを行う。 ・データ検索・圧縮における構造化の探求: 渋谷はタンパク質立体構造データベースをベンチマークにしてSMADの技術の推進を行い、統計学的なモデルを利用したデータベース検索の高速化・高精度化を行うためのより精密なモデル化を試みる。特に[24] で問題提起している、より柔軟かつ複雑な検索の理論の精密化と実際の高速化の実現をめざすとともに、研究のショーケースとして社会に公開する。 ・構造列挙のモデル化とアルゴリズム: 宇野と堀山を中心に、計算限界手法を利用したデータ構造化を検討し、構造列挙を研究する。巨大データでの列挙を現実的に行うには解の数の指数爆発を制御するモデル化が必須であり、宇野による極大クリーク列挙をベースに探求を行う。また、堀山が最近世界で初めて成功した、同型構造を重複せずに数え上げる新手法を拡張し、化学、物性、生物などでの現実利用について共同研究を推進する。
|
Research Products
(25 results)