2012 Fiscal Year Annual Research Report
Activation and modification of cell/organization with plasma and application to regenerative medicine
Project Area | Plasma medical innovation |
Project/Area Number |
24108010
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80260420)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 千尋 東京都市大学, 工学部, 助教 (00570699)
岩下 光利 杏林大学, 医学部, 教授 (30124936)
金井 孝夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60104642)
森 晃 東京都市大学, 工学部, 教授 (60219996)
工藤 美樹 広島大学, その他の研究科, 教授 (80241082)
|
Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
Keywords | プラズマ / 大気圧プラズマ / プラズマ医療 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
●プラズマ装置・培養細胞チーム→マイクロスポット型大気圧プラズマ源を用いて、小・中動物の生体組織へのプラズマ照射による細胞活性化に関する再現性を含めた詳細な実験を行なった。特に、細胞・組織の活性化に重要な役割を果たしている一酸化窒素(NO)による疾患治療の観点から、循環器系疾患治療を目的としたプラズマ吸入による実験・評価を行なった。実験は、カテーテル型NOセンサをラットの腹部大動脈に挿入した血管造影用カテーテルの端末から直接導入し、プラズマを直接肺に吸入した時の血液中NO濃度の測定、並びにカテーテル末端に接続したマイクロ圧力センサにより血管内血圧を測定した。血圧測定の結果、プラズマ吸入では血圧の降下(最高/最低:110/65 mmHg→90/40 mmHg)がみられた。さらに、血液中NO濃度測定の結果も血圧降下と同様の時間変化をすることが判明した。NOによる血管拡張作用に起因した血圧降下は、狭心症や心筋梗塞等の心疾患、並びに原発性肺高圧症や新生児遷延性肺高血圧等の呼吸器疾患の治療に有効であるのみならず、細胞代謝の促進にも大きく寄与しているものと考えている。●実験動物・病理検査チーム→培養細胞の増殖結果との比較を行うために、人工的に皮膚の熱傷を発生させた小動物へのプラズマ照射を行い、照射患部の治癒状態について評価を行った。熱傷形成7日後、新生血管の標識試薬であるFITC トマトレクチンを静脈から投与し、体循環の後に摘出した患部の組織から作製した切片標本を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて直接観察を行った。その結果、プラズマ照射を行った組織では広範囲に亘って新生血管形成に起因した蛍光が観察された。以上の結果より、プラズマ源から発生したイオン・ラジカルによる組織表面での電気化学的刺激が細胞内成長因子を活性化して血管新生を促進し、熱傷患部の治癒を促進させていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞へのプラズマ照射による活性化・増殖及び小・中動物の生体組織へのプラズマ照射・吸入による熱傷・創傷・循環器疾患の治癒に関する基礎実験に関しては、予想以上の成果を上げており、到達度はほぼ100%であると考えている。しかし、実験結果が先行している半面、細胞増殖及び循環器疾患治癒に関するメカニズムが明確ではないため、各種生化学的検査等を含めた詳細な評価を行う必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
熱傷・創傷の治癒促進の場合、軟膏等の薬物投与との比較を行う必要がある。具体的には、患部への抗生物質や消炎剤による治癒促進もしくはプラズマ照射による組織活性化の両者について評価を行い、プラズマの優位性を検証すると共に、両者の併用も視野に入れた新規治療法の確立も検討する必要があると考えている。さらに、プラズマイオン吸入については、プラズマにより発生するイオン種及びラジカル種の同定を行い、治癒メカニズムに関連する反応経路を明確にすると同時に、毒性も含めた安全性の確保及び向上を行い、狭心症や心筋梗塞等の心疾患、低酸素脳症や脳梗塞等の脳疾患、並びに原発性肺高圧症や新生児遷延性肺高血圧等の呼吸器疾患の治療を目的とした臨床応用展開を想定した基礎評価を行う必要がある。特に、内科学的な一般検査である血球算定検査、生化学検査、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)による遺伝子発現解析、体重測定、及び皮膚形態変化観察(目視及び細胞核染色)による評価を継続して行い、プラズマ照射・吸入の体系化を目的とした基礎データーの蓄積を行う。
|
Research Products
(10 results)