2013 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマによる細胞/組織の活性化・改質及び再生医療への応用展開
Project Area | Plasma medical innovation |
Project/Area Number |
24108010
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 教授 (80260420)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 千尋 東京都市大学, 工学部, 助教 (00570699)
岩下 光利 杏林大学, 医学部, 教授 (30124936)
金井 孝夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60104642)
森 晃 東京都市大学, 工学部, 教授 (60219996)
工藤 美樹 広島大学, 医学部, 教授 (80241082)
|
Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
Keywords | プラズマ / 大気圧プラズマ / プラズマ医療 / 再生医療 / 心疾患治療 |
Research Abstract |
●イオン種及びラジカル種を制御したプラズマ照射による火傷治癒 プラズマ発生用印加電圧の周波数を1-5 kHzと変化させて小動物(ラット)へのプラズマ照射処理を行った際の火傷面積算定の結果、未照射及び周波数:1-2 kHzによる照射では、火傷形成12日後までは火傷面積の大きな変化は見られなかったが、12-27日後にかけて減少し、30日後までには完治する傾向が見られた。一方、周波数3-5 kHzの場合では、火傷形成6日後付近から緩やかに減少する傾向があり、21日後には周波数:3 kHzによる照射を行った火傷はほぼ治癒した。また、火傷部位がほぼ再生している状態に至るまでの期間は、最も早く完治した3 kHzに比べて他の周波数では約3日ずつ遅れる傾向が見られた。更に、周波数:3-4 kHzの火傷部位では、非照射郡および周波数:1-2 kHzの火傷部位と比較して、火傷形成12-24日後にかけて火傷面積が減少していることが判明した。 ●プラズマ吸入による心疾患(心筋梗塞)の緩和治療 心疾患及び呼吸器疾患の治療を目的とした心筋梗塞発症モデルラットへのプラズマ吸入による実験・評価を行なった。プラズマは、ガラスキャピラリー先端に接続したシリコンチューブを介して小動物の肺に吸入した。カテーテル型一酸化窒素(NO)センサにより血液中NO濃度の測定、更に血圧はマイクロ圧力センサにより測定した。特に、心筋梗塞モデルラットにおける血流量の変動については経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2:動脈血中の酸素と結合しているヘモグロビンの割合)を計測して評価した。Heガス吸入ではSpO2に変化は殆どみられなかったが、プラズマ吸入では血圧降下と共にSpO2の増加(83%→97%)傾向がみられた。更に、プラズマ吸入後から血液中NO濃度が増加することから、NOによる血管拡張作用に起因した血圧降下であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的な到達度に関しては、約90%程度まで進展しているといえる。 まず、各種プラズマを用いた生体適合性向上及び培養細胞の活性化・増殖に関しては、成果を上げており、到達度についても90%以上であると考えている。しかし、実験結果が先行している半面、細胞増殖に関するメカニズムが明確ではないため、組織観察及びプラズマ中にて生成されるイオン種及びラジカル種により発現する酸化ストレス評価を含めた遺伝子解析等の詳細な評価を行う必要があると考えられる。 次にイオン種及びラジカル種を制御したプラズマ照射による火傷治癒については、大気中酸素及び窒素の含有量に対して火傷の治癒状態が異なることから、プラズマ周辺に生成される窒素酸化物が関与していることが判明している。これらの結果と更なる評価を行うことにより、プラズマと治癒の相関関係とメカニズム解明に寄与できるものと考えている。 更に、プラズマ吸入による心疾患(心筋梗塞)の緩和治療に関する実験は、ほぼ100%の到達度である。特に、プラズマ吸入に起因した血管拡張による血圧降下は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、並びに原発性肺高圧症や新生児遷延性肺高血圧などの呼吸器疾患の治療に有効であるのみならず,細胞代謝の促進にも大きく寄与しているものと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
プラズマイオン吸入については、プラズマにより発生するイオン種及びラジカル種の同定を行い、治癒メカニズムに関連する反応経路を明確にすると同時に、毒性も含めた安全性の確保及び向上を行い、狭心症や心筋梗塞等の心疾患、低酸素脳症や脳梗塞等の脳疾患、並びに原発性肺高圧症や新生児遷延性肺高血圧等の呼吸器疾患の治療を目的とした臨床応用展開を想定した基礎評価を行う必要がある。
|
Research Products
(10 results)