2014 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマによる細胞/組織の活性化・改質及び再生医療への応用展開
Project Area | Plasma medical innovation |
Project/Area Number |
24108010
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 教授 (80260420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 千尋 東京都市大学, 工学部, 助教 (00570699)
岩下 光利 杏林大学, 医学部, 教授 (30124936)
金井 孝夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60104642)
森 晃 東京都市大学, 工学部, 教授 (60219996)
工藤 美樹 広島大学, その他の研究科, 教授 (80241082)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | プラズマ / 大気圧プラズマ / プラズマ医療 / 再生医療 / 心疾患治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
●大気圧プラズマ治療装置用機器格納筐体試作 実際の治療装置を想定した機器格納筐体の試作を行った。具体的には、高電圧発生用電源装置、パルス発振器、制御用PCを1つの筐体に収納し、可動型アームを装着させることにより、医療現場にて使用した場合を想定したプラズマ照射及び吸入に関する実験について評価を行った。その結果、プラズマ照射・吸入処理の安全かつ実験効率の向上に成功した。 ●細胞内伝達物質における活性化状態の評価(酸化ストレスとの関連性) 外因性及び内因性NOの区別を明確にするため、細胞内に存在するNO合成酵素(NOS)の活性化状態を評価し、NO産出源の同定を行うと共に、細胞内伝達物質の活性化状態についても評価を行った。具体的には、ウェスタンブロット法(電気泳動によって分離したタンパク質を膜に転写し、任意のタンパク質に対する抗体でそのタンパク質の存在を検出する手法)を用いて各種細胞内成長因子に対する酸化ストレスの影響について評価を行った。その結果、プラズマ照射により細胞内の6種類の成長因子が酸化ストレスに起因したリン酸化反応を起こすことが判明したため、プラズマが成長因子を活性化させて細胞増殖を促進させている可能性が大きいことが実証できた。 ●プラズマ照射・吸入による心・脳疾患の緩和治療 動脈硬化性疾患と類似した虚血性疾患に注目したヒト胎児由来の臍帯血を用いた低酸素性脳症の治療とプラズマ照射・吸入による心・脳疾患の緩和治療を組み合わせた革新的複合治療の可能性について比較・検討を行った。その結果、脳疾患に対して共通した回復傾向を示すことが示唆され、プラズマ吸入を用いることにより一定の効果が期待できるという結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的な到達度に関しては、約90%程度まで進展しているといえる。 まず、各種プラズマを用いた生体適合性向上及び培養細胞の活性化・増殖に関しては、成果を上げており、到達度についても80-90%あると考えている。しかし、細胞増殖については実験データーにばらつきが生じるため、安定したプラズマの発生とその周辺領域の環境状態を一定に保つなどの詳細な評価を行う必要があると考えられる。 次に、これまでの実験結果より、一酸化窒素を含む窒素酸化物が関与していることが判明しているため、プラズマ中に発生するイオン種及びラジカル種の詳細な計測を行う必要があると考えられる。 更に、プラズマ照射・吸入による心・脳疾患の緩和治療に関する実験は、ほぼ100%の到達度である。特に、虚血性疾患(低酸素性脳症)については、ヒト胎児由来の臍帯血を用いた低酸素性脳症の治療とプラズマ照射・吸入による心・脳疾患の緩和治療を組み合わせた革新的複合治療を行うことにより、細胞代謝の促進にも大きく寄与しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマにより発生するイオン種及びラジカル種の同定を継続して行い、治癒メカニズムに関連する反応経路を明確にする。プラズマ吸入における安全性の確保及び向上(特に、一酸化窒素を含む窒素酸化物及びオゾンなどを含む酸化物に対する生体毒性)を行い、狭心症や心筋梗塞等の心疾患、低酸素脳症や脳梗塞等の脳疾患、並びに原発性肺高圧症や新生児遷延性肺高血圧等の呼吸器疾患の治療を目的とした治験を行うための基礎評価と準備を行っていく必要がある。
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Research Products
(19 results)