2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
24109005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 京都大学, 化学研究所, 教授 (30222368)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 高周期典型元素 / テルル / 炭素ラジカル / ラジカルカップリング反応 / リビングラジカル重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
光反応による有機テルル化合物の活性化を詳細に検討した結果、光照射の強度を調整することで、選択的にリビングラジカル重合とラジカルカップリング反応へと反応経路のスイッチを行えることがわかった。その際、ジエンを共存させることで、ジエンの挿入を伴ったカップリング反応が汎用性高く、かつ高効率で起こることを明らかにした。さらに、条件を精査することで、挿入されるジエンの数を2モノマー単位に高度に制御できること、さらに、官能基を持つジエンを用いることができることから、分子量、分子量分布の制御された対象構造を持つポリマーにおいて、その中央部位に官能基の数と位置とを高度に制御して導入できることを明らかにした。 さらに、カップリング反応の効率の違いが、ラジカル重合における重合の停止反応、すなわち、不均化反応と結合反応の選択性に相当していることに気付き、この反応がラジカル重合の停止反応の解析に適していることを提案した。すなわち、有機テルル化合物を用いたリビングラジカル重合で合成した構造の制御されたポリマーをラジカル前駆体として利用することで、単純な生成物の解析で停止反応を定量的に解析できることを提案した。さらに、原理の証明としてこの方法でスチレンとメタクリル酸メチルの停止反応について検討したところ、結合反応と不均化反応との寄与を定量的に求めることに成功した。さらに、アクリル酸エステルについて予備的検討を行ったところ、教科書の記載されている内容と異なり、不均化反応が選択的に起こる可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光の強度によりラジカル生成の効率を高度に制御し、反応のスイッチングに利用できることを明らかにするなど、官能性化学種であるラジカル種の生成・調整法を提示すると共に、それを有用な合成反応へと展開しており、興味深い成果を挙げていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラジカル重合は産業的に最も汎用性の高い高分子化合物の合成法であると共に、その重合機構もすべての高分子化学の教科書に記載されている基本的重合法である。一方、停止機構により、生成ポリマーの分子量と末端構造が変わるため、停止機構は最終的な高分子材料の物性までにも影響を与える重要な段階である。それにもかかわらず、これまでの理解は十分でなかったことを昨年度までに明らかにした。そこで、今後においては、その機構解明を他のモノマーへと拡大すると共に、新たに明らかになってきた疑問についても解明を行う。すなわち、一般に化学反応では温度が高くなるとエントロピーが増大する方向に反応が進みやすくなることから、高温では不均化反応が有利になると考えられるのに対し、我々は逆の結果、すなわち、高温で結合反応が有利になるとの結論を得た。この原因を明らかにすると共に、さらに一歩進んで、この原因を明らかにすることで、停止反応における不均化と結合反応の選択性を制御する可能性を探る。これまで、停止反応の制御が試みられた例は全くなく、極めてチャレンジングでかつ興味深い研究テーマと考えられることから、その達成を図る。さらに、ラジカル重合停止反応では、二つのラジカルのスピン状態が三重項から一重項に代わる必要があることから、一見単純な反応に見えるが、実際は極めて複雑である。適当な共同研究者との共同研究により、理論的解明も含めた検討を行う。
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Research Products
(17 results)