2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
24109015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 秀樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00315970)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 錯体化学 / 酵素モデル / 感応性化学種 |
Outline of Annual Research Achievements |
モリブデン酵素活性中心生成のモデル化をおこなった。ジオキソモリブデン(VI)状態の補因子モデルとして、カルボン酸メチルエステルを置換基に持つジチオレン錯体を用いた。メタノールやベンジルアルコールなどの単純なアルコールをアポ酵素モデルとして、Camphorsulfonic acid存在下、-40℃で補因子モデルと反応させるとアルコラトと一つのオキソ基が置換したオキソアルコラトモリブデン(VI)活性中心モデル錯体が生成した。生成したモリブデン錯体は紫外可視、マススペクトルによって同定した。エタノラトが配位した錯体については、低温下での結晶化に成功し結晶構造を決定した。活性中心モデル錯体は540 nm付近に2000 M-1 cm-1以上のモル吸光係数を持つ強い吸収帯をもつが、配位アルコラトによって吸収位置は大きく変化しなかった。ヘキサンチオールをアポ酵素モデルとして用いた時には、-60℃以下でアルコールとの反応と同様にオキソ基との置換がおこり、オキソ(ヘキサンチオラト)モリブデン(VI)錯体が生成した。この錯体は639 nmに強い吸収帯を持ち、アルコラト錯体の吸収帯よりも大きく長波長シフトしていた。これらの構造をDFT計算により最適化してモデル錯体の電子状態を明らかにし、これらの吸収はHOMO-1からLUMOへの電荷遷移に帰属した。 すでに合成に成功したアルケンのシスジオール化を触媒するオスミウム置換鉄酵素モデル錯体を用いると、過酸化水素を酸化剤としてさまざまな1,5-ジエンの酸化的環化反応が進行し、シス配置のテトラヒドロフラン環が生成した。環化反応における基質依存性や五価オスミウム酸化活性種と1,5-ジエンとの量論反応を分光学的に追跡することにより、反応機構を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、「感応性金属酵素中心モデルの構築と機能発現」と題して、酵素触媒サイクル中に存在する準安定化学種を感応性化学種として積極的にとらえることを目的としている。すなわち、感応性モデル錯体を合成し、外部刺激応答性を調べ、機能発現(特に化学的反応性)まで展開する。 モリブデン酵素モデルに関して、触媒サイクル中の準安定な活性中心モデル錯体を低温条件で単離・構造決定することに成功した。各種分光法の測定や計算化学により電子状態を決定したことは本領域の概念に一致する。 人工金属酵素の開発では、アルケンのシスジオール化を触媒するrieske dioxygenaseのオスミウムモデル錯体を合成し、過酸化水素を酸化剤として、酵素基質以外のジエンの酸化的環化反応に成功した。この結果は、本課題の人工金属酵素のモデルによる機能発現に一致する。
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Strategy for Future Research Activity |
不活性炭化水素を水酸化する銅含有メタンモノオキシゲナーゼの感応性活性中心モデル構築をおこなう。中心構造は二核銅二価三価混合原子価をとるため、配位原子数や非対称的な配位環境を提供できる二核化配位子を合成する。その銅二価錯体をまず合成し、化学的酸化や電気化学的酸化により二価三価状態を発生させる。 バイオインスパイアードOs錯体触媒で達成してきたアルケンのジオール化、アミノヒドロキシ化、酸化的環化反応をさらに、発展させ、生成物への不斉導入を試みる。不斉を導入した配位子を設計しそのオスミウム錯体を合成する。錯体の不斉場を評価しながら、不斉化反応をおこなう。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] A Model for the Active Site Formation in DMSO Reductase Family Molybdenum Enzymes Involving Oxido-alcoholato- and Oxido-thiolato-molybdenum(VI) Complexes2016
Author(s)
H. Sugimoto, M. Sato, K. Asano, T. Suzuki, K. Mieda, T. Ogura, T. Matsumoto, L. J. Giles, A. Pokhrel, M. L. Kirk, S. Itoh
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Journal Title
Inorg. Chem
Volume: 55
Pages: 1542-1550
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Generation, Characterization, and Reactivity of a Cu(II)-alkylperoxide/aniline-radical Complex: Insight into the O-O Bond Cleavage Mechanism2015
Author(s)
S. Paria, T. Ohta, Y. Morimoto, T. Ogura, H. Sugimoto, N. Fujieda, K. Goto, K. Asano, T. Suzuki, S. Itoh
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 137
Pages: 19870-19873
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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