2013 Fiscal Year Annual Research Report
シリア・中心体系を介する情報フローによる体の左右の決定
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
24113004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱田 博司 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00208589)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 発現制御 / 発生・分化 / 左右非対称性 / 繊毛 / 水流 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:ノードの前後で非対称に発現する(ノードの尾側で発現する)Wnt5a, Wnt5bの変異マウスにおいて、基底小体の位置を調べたところ、二重変異胚の約50%において、基底小体の位置が異常であった(ランダムになっていた)。また、組換えWnt5a蛋白質を過剰に加えて培養すると,正常胚に対して基底小体の異常を引き起こし,Wnt5a/5bに対しては回復効果を示さなかった。以上の結果より,Wnt5a/5bはpermissibeではなく、その濃度勾配がinstructiveに働いていることが示唆された。PCR core 蛋白質であるPrickle1, Prickle 2を欠損するマウスでは、基底小体の位置がランダムになり,本来ならノード細胞の前側に局在すべきVangl1蛋白質が、細胞全体に広がっていた。 2)ノードの繊毛が時計方向に回転する機構:ノードの繊毛は短時間のTaxol処理で回転運動が失われるが、そのような処理をしたマウス胚のノード繊毛の構造を、電子顕顕微鏡やトモグラフィーで解析した。その結果、短時間のしょりで、軸糸の微小管の走行が異常になっていることが判った(transpositionを起こしていた)。また、ノード繊毛の運動を再現できるモデルを構築し,微小管のtranspiositionが運動パターンを乱すことが示された。 3)動かない繊毛が水流を感知する機構:Ca2+センサー蛋白質(GCaMP6, 8)をノードの動かない繊毛に発現・局在させるトランスジェニックマウスを作成することに成功し、それを用いてCa2+を検出する顕微鏡システムの確立を試みた。 4)シリア形成・中心体複製におけるQilin(Cluap1)の役割:Qilin(Cluap1)蛋白質は,繊毛のみならず、繊毛を持たない細胞においては、中心体(母中心体)のdistal appendageに存在すること、しかし」中心体複製には必須でないことが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:ノードの前後で非対称に発現するWnt5a, Wnt5bがinstuructiveな役割をすることが判り、研究の方針が妥当であることが確認された。PCR core 蛋白質であるPrickle1, Prickle 2が、ノード細胞でも機能することから,この局面でもPCPの機構が働いていることが示唆された。極めて順調に進んでいる。 2)ノードの繊毛が時計方向に回転する機構:ノード繊毛の運動を再現できるモデルを構築することができたのは、今後の研究に有用である。 3)動かない繊毛が水流を感知する機構:目的のトランスジェニックマウスを作成することに成功したが、Ca2+を検出する顕微鏡システムは、予想したほど簡単ではなかった。 4)シリア形成・中心体複製におけるQilin(Cluap1)の役割:中心体複製における役割の有無を明確にできた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:Wnt5a, Wnt5bの変異マウスの約50%しか、基底小体の異常を示さないことより,他のinstructiveな因子の関与が示唆される。今後は、ノードの頭側で発現することが知られている、Wnt inhibitorであるSfrpに注目したい。 2)ノードの繊毛が時計方向に回転する機構:ノードの繊毛は、気道の繊毛などと異なり、微小管が9+0の配置を示し、中心部の微小管とそれに付随したradial spokeを持たない。この特徴的な構造が運動パターンを決めている可能性を調べるために,radial spoke蛋白質のRsph4a, Rsph9を欠損するマウスを作成した。 3)動かない繊毛が水流を感知する機構:目的のトランスジェニックマウスを作成することに成功したが、Ca2+を検出する顕微鏡システムは、予想したほど簡単ではなかった。 4)シリア形成・中心体複製におけるQilin(Cluap1)の役割:Qilin(Cluap1)を欠損するMEFやマウス胚を用いて、中心体以外の場所でに以上を探索する。
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[Journal Article] Pih1d3 is required for cytoplasmic preassembly of axonemal dynein in mouse sperm2014
Author(s)
Dong, F., Shinohara, K., Nabeshima, R., Botilde, Y., Asai, Y., Fukumoto, A., Hasegawa, T., Matsuo, M., Takeda, H., Shiratori, H., Nakamura T., and Hamada, H.
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Journal Title
J. Cell Biol.
Volume: 204
Pages: 203-213
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Cluap1 localizes preferentially to the base and tip of cilia and is required for ciliogenesis in the mouse embryo2013
Author(s)
Botilde, Y., Yoshiba, S., Shinohara, K., Hasegawa, T., Nishimura, H., Shiratori, H. and Hamada, H.
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Journal Title
Dev. Biol.
Volume: 381
Pages: 203-212
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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