2015 Fiscal Year Annual Research Report
シリア・中心体系を介する情報フローによる体の左右の決定
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
24113004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱田 博司 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00208589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広野 雅文 法政大学, 生命科学部, 教授 (10212177)
岸本 健雄 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 客員教授 (00124222)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 発現制御 / 発生・分化 / 左右非対称性 / 繊毛 / 水流 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:Wnt inhibitorであり、ノードの前側で発現するSfrp1,2,5のすべてを欠損すると、ノードの基底小体の位置が、後ろにシフトしなかった。また、ノードの後側で発現するWnt5aを胚全体で均一に発現させる・あるいはノードの前後で均一に発現させると、基底小体が細胞の中央に留まった。以上より、ノードを中心に非対称かつ反対の方向に発現するWnt5a/5bとSfrp1/2/5が、Wnt5活性の勾配をつくり、これが基底小体を細胞の後側へと位置させている事が判った。 2. 基底小体が細胞の後側へと移動する機構:細胞内極性因子であるPrickle1,2を欠損するマウスでは,基底小体がランダムに位置する事が判った。 3. ノード繊毛が回転運動する理由:ノード繊毛は、他の動く繊毛と異なり、回転運動をする。構造的には、ノード繊毛は、中央の微小管やradial spokeを欠く。そこで、Radial spokeの因子(Rsph4a, Rsph9)を欠損するマウスを作成したところ,本来は波打ち運動する繊毛が、回転運動をするようになった。以上より、radial spokeが無い事が、回転運動を可能としている一因である事が判った。 4. アンテナの役割をする不動繊毛が水流を感知する機構:繊毛に局在する種々のCa2+センサー蛋白質をノードで発現するトランスジェニックマウスを作成し、それを用いて繊毛から流入するCa2+の検出を試みた。その結果,左右非対称なCa2+のoscillationを検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『動かない繊毛が水流を感知する機構』については、繊毛から流入するCa2+を観察できる系ができ、これを利用してノードを観察した結果,左右非対称なCa2+のoscillationを検出する事ができた。これにより、大きく進むと期待できる。残りのプロジェクトも、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体が、Wnt5aの勾配である事を、キメラ解析などで検証する。 2. 細胞内極性因子Prickle1,2が、細胞間相互作用を介して働いているかどうかを、キメラ解析で検証する。 3. ヒトの遺伝学的データを利用して、ノードの繊毛が特異的に運動を失う変異を探索し、変異マウスを作成する。 4. 繊毛から流入するCa2+のoscillationを正確に観察し、左右非対称性の有無の再確認、水流への依存性を確認する。そのうえで、機械的な刺激に反応するか否かを、光ピンセットを用いて検証する。 5. 繊毛形成に必須な因子であるQilinがの蛋白質やmRNAが、細胞内で特徴的な局在をする事が判ったので,その意義を検証する。 6. 他の動く繊毛と比較して、ノード繊毛に特徴的な構造を、TEMなどを用いて探索する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Overall architecture of the IFT-B complex containing Cluap1/IFT38 as an essential component of the IFT-B peripheral subcomplex.2016
Author(s)
Katoh, Y., Terada, M., Nishijima, Y., Takei, R., Nozaki, S., Hamada, H. and Nakayama, K.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Absence of radial spokes in mouse node cilia is required for rotational movement but confers ultrastructural instability as a trade-off.2015
Author(s)
Shinohara, K., *, Chen, D., Nishida, T., Misaki, K., Yonemura, S. and Hamada, H.
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Journal Title
Dev Cell
Volume: 35
Pages: 236-246
DOI
Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Single-Cell Expression Profiling Reveals a Dynamic State of Cardiac Precursor Cells in the Early Mouse Embryo.2015
Author(s)
Kokkinopoulos I, Ishida H, Saba R, Ruchaya P, Cabrera C, Struebig M, Barnes M, Terry A, Kaneko M, Shintani Y, Coppen S, Shiratori H, Ameen T, Mein C, Hamada H, Suzuki K, Yashiro K.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0140831
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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