2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経発生、ネットワーク形成に果たす中心体の役割の解明
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
24113007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
広常 真治 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80337526)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 / 微小管 / モータータンパンク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小管は細胞骨格として細胞の形態維持、モータータンパンク質のレールとして細胞内物質輸送に重要な役割を果たしている。特に神経細胞においては微小管制やモータータンパンク質の制御因子の変異はさまざまな中枢神経系の形成不全や神経変性疾患の原因となっている。我々は細胞質ダイニンがカーゴと分離する際のダイナクチン複合体との解離にArl3とLC8が協調して働き、細胞質ダイニンとダイナクチン複合体の分離を促進することを明らかにした。 一方、細胞質ダイニンは微小管をプラス端に向かって走る際に可動性微小管と結合しキネシンによって運ばれる。この際の可動性微小管の構成因子としてアルファシヌクレインを同定した。アルファシヌクレインは家族性パーキンソン病の原因遺伝子として同定されたが、生理的な機能は不明な点が多い。我々はアルファシヌクレインをはじめ他のシヌクレインファミリータンパンク質が微小管の制御因子として機能し、微小管を安定化させる機能があることを明らかにした。 小脳症と滑脳症の両者の特徴を示す疾患が報告され、カタニンP80の変異が原因であることが明となった。面白いことに、カタニンP80はそのN-末端がLIS1と相同な領域を持っており、機能的にLIS1と共通することが示唆されていた。我々はカタニンP80もLIS1と同様に細胞質ダイニンを微小管上に固定する機能があることを明らかにした。さらに、カタニンP80は微小管の制御因子であるNuMAとも結合することを発見した。これらのことからカタニンP80はNuMA、細胞質ダイニンを介して微小管ネットワークを制御し、神経幹細胞の増殖における紡錘体形成、細胞極性の制御、また神経細胞の遊走の時における微小管再編を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルファシヌクレインと微小管の結合様式の詳細な解明の結果これまでの微小管結合タンパンク質と全く異なった挙動を示すことがわかった。さらにアルファシヌクレインと結合した微小管はきわめて安定で可動性微小管としての特徴を示すことがわかった。 カタニンP80はこれまで機能が不明であったがNuMAと結合し、神経幹細胞の分裂時の紡錘体形成や神経細胞遊走時の微小管ネットワークの再編に重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらは当初の計画をさらに発展させるもので計画は順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
アルファシヌクレインは家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるが微小管との結合がどのように制御されているかは不明である。我々はアルファシヌクレインの制御因子として低分子量Gタンパンク質・Rab7とRab7のGAPであるTBC/RabGAP Armusを同定した。本申請課題ではRab7とTBC/RabGAP Armusがどのようにアルファシヌクレインと微小管の結合を制御しているかを明らかにし、アルファシヌクレインの変異によるパーキンソン病発症の分子機構を明らかにする。 (1)in vitro再構成実験によってカタニンP80による微小管ネットワークの制御を再現する。具体的には精製チューブリン、細胞質ダイニンにNuMA、カタニンP80の組み替えタンパンク質を加え、微小管および微小管ネットワーク形成に与える効果を解明する。さらに精製中心体存在下での人工紡錘体形成を証明する。
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[Journal Article] DBZ regulates cortical cell positioning and neurite development by sustaining the anterograde transport of Lis1 and DISC1 through control of Ndel1 dual-phosphorylation.2015
Author(s)
1.Okamoto, M., Iguchi, T., Hattori, T., Matsuzaki, S., Koyama, Y., Taniguchi, M., Kodama, M., Xie, M-J., Yagi, H., Shimizu, S., Konishi, Y., Yoshimi, T., Tachibana, T., Fujieda, S., Katayama, T., Ito, A., Hirotsune, S., Tohyaman, M. and Sato, M.
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Journal Title
J Neurosci
Volume: 18
Pages: 2942-2958
DOI
Peer Reviewed
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