2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
24114007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馳澤 盛一郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40172902)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞壁 / 細胞骨格 / イメージング / 画像定量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究では表層微小管をはじめとする細胞骨格に着目し、細胞壁の構造変化との関係を定量的な観点から検証を実施した。(1-1)細胞板拡大に関して、分裂中期の細胞表層におけるアクチン繊維の分布を薬理学的に攪乱させることで紡錘体・フラグモプラスト・細胞板のいずれもが赤道面に対して傾斜し、異常な細胞分裂面を形成することを見出した。また関連の共同研究として、フラグモプラストの拡大に伴う高解像度の微小管動態を捉えた成果、橋本班と高浸透圧ストレスによるチューブリンの脱重合に対するチューブリンリン酸化酵素PHS1の重要性の実証を掲載した。(1-2)細胞板形成初期に関して、笹部班と協同で細胞板形成過程の微小管、輸送小胞、キネシン様タンパク質NACK1の解析を進め、GFP-NACK1の細胞板への集積画像などの成果を得ている。また関連の共同研究として、新規の膜輸送因子PATROL1の機能解析を実施し、PATROL1がAHA1の細胞膜への局在に必要な因子であることを示した。(2-1)葉表皮細胞の人為的変形と細胞形態の組織レベルでの評価に関して、葉表皮組織の発育段階とセルロース分解酵素処理濃度に応じた表皮細胞壁の形状を解析した。(2-2)表皮組織の細胞ネットワーク構造の可視化と信号伝達シミュレーションに関しては、(2-1)で述べた全45枚の子葉表皮細胞連結様式をグラフ構造として評価し、可視化を実施した。(2-3)葉表皮細胞における表層微小管動態に関しては、(2-1)により細胞壁の湾曲が高頻度で起こる条件を検討し高解像度の連続光学切片像を取得した。(2-4)九大の三浦・今村(連携研究者)両氏との共同研究として、数理モデルによる表皮細胞壁の湾曲形成機構を検討し、細胞壁の湾曲を再現する(1)界面方程式モデルと(2)力学モデルの異なる二種類の数理モデルを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、全体として研究は計画通りに順調に進行しており、新学術の他の班員との研究連携もますます盛んである。次年度が最終年度に当るが、当初の目的を充分完遂見込みであり、さらに関連研究から想定外の進展もみられている。また、これらの成果の一部は既にNature Communications誌、Current Biology誌を含む評価の高い専門誌に掲載され、さらに多くの成果報告が発表予定である。このように、本計画に関しては当初計画していた以上の成果が得られているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までと同様に、細胞レベルの解析と組織レベルの解析を並行して実施する。 細胞レベルの解析として,(1-1)細胞板形成に関わるキネシン様タンパク質NACK1の動態解析、および(1-2)成熟した細胞壁環境に関与する膜輸送因子PATROL1の解析を進める。また、組織レベルの解析としては、(2-1)葉表皮細胞の人為的変形と細胞形態の組織レベルでの評価、(2-2)表皮組織の細胞ネットワーク構造の可視化と信号伝達シミュレーションの実施、(2-3)葉表皮細胞における表層微小管動態解析、(2-4)細胞壁の湾曲を理解するための数理モデルの検討を進める。
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Research Products
(10 results)