2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外情報処理空間における細胞間・生物間情報伝達機構の解析
Project Area | Plant cell wall as information-processing system |
Project/Area Number |
24114009
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 進一郎 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00315748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相田 光宏 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (90311787)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞外 / インテリジェント / ペプチド / センチュウ感染 / 分裂組織 / 内生プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全ての植物細胞を取り囲む細胞外の超分子である細胞壁を、細胞間・生物間でおこる様々な情報のやりとりを仲介・統合する機能を持った細胞外インテリジェント空間と捉え、その植物の成長制御における役割を明らかにしたいと考えている。 線虫感染過程と防御応答の解析のうち、線虫培養系の改良を行った。まず最初に、研究に必要な線虫を確保するための培養系の確立を行い、一日あたり、最高150万頭の線虫が準備可能となった。つぎに、プオテオーム解析を行った。植物防御応答に関して、網羅的解析を行うために、線虫が植物に注入するエフェクタータンパク質のプロテオーム解析を行い、多くの候補を得た。その中でも、機能未知のMSP7について、機能解析を行った。MSP7を用いたY2Hスクリーニングにより、AP2タイプのB3転写因子が単離された。プロモーターレポーター解析の結果、B3遺伝子発現は、根瘤で上昇することが明らかとなった。また、このB3転写因子の過剰発現株を用いてRNA seq解析を行ったところ、多くのストレス抵抗性関連遺伝子群の発現が上昇していた。 さらに、線虫CLE遺伝子の解析を行った。RT-PCRの結果、線虫CLE遺伝子群は、線虫体内で発現していることが確かめられ、線虫個体を用いたin situ hybridization testにより、MjCLE2に関しては、エフェクタータンパク質を蓄積する唾液腺付近での発現が確認できた。また、CLEペプチドホルモンの受容体であるシロイヌナズナclv1突然変異体では、線虫感染時に巨大細胞が分化しないことがわかった。巨大細胞は、多核で、核相が大きくなるという特徴があるが、エンドサイクルに関与すると思われるCCS52a遺伝子の突然変異体では、clv1同様、巨大細胞が分化しないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、全ての植物細胞を取り囲む細胞外の超分子である細胞壁を、細胞間・生物間でおこる様々な情報のやりとりを仲介・統合する機能を持った細胞外インテリジェント空間と捉え、その植物の成長制御における役割を明らかにしている。そのため、植物病害と内生プログラムという異なる刺激が関わる、植物の生長制御に重要な分裂組織の活性調節をアウトプットとした現象を研究系とし、新規の解析概念、解析手法の確立と、それを基にした細胞外インテリジェンスの機能解明にとりくんでいる。当該年度も多くの因子の単離に成功し、また、さらなる因子の探索も計画以上に進んでいる。その他のセンチュウの感染機構の解析として、線虫誘引物質、忌避物質の探索も行った。また、内生プログラムに応じた分裂組織の活性調節機構に関して、CLEペプチドの下流因子の単離も出来た。また、茎頂分裂組織の形成と器官分離に関わるシロイヌナズナの転写因子CUC1・CUC2について、下流遺伝子の1つであるSTMのシス配列上の作用部位を、培養細胞を用いたレポーター解析により探索した。その結果、STMコード配列の上流4.0~4.4kbの領域に、CUC1およびCUC2のいずれもが強く作用する領域を同定した。この領域の植物体における活性を現在解析中である。また、心皮の後天的融合メカニズムを明らかにするため、野生型シロイヌナズナにおける接着部位の詳細な組織学的解析を行った。その結果、接触部位表面の細胞壁はクチクラ用の構造に覆われていることが分かった。また、始めは丸みを帯びていた表面の細胞壁が、融合が進むに従って次第に平坦になり、内部の細胞壁に似た形状を示すようになった。さらに表皮細胞特異的マーカーであるPDF1の解析から、融合部位では表皮細胞の性質が徐々に失われることが示唆された。このように、当初の計画以上に成果がでていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた解析を引き続き継続して行う。主に,センチュウ感染過程の分子機構の解析と、内生プログラムに応じた分裂組織の活性調節機構の解析について、より詳細な分子機構の解析を行う。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] CLE19 peptide activity is regulated by SUPPRESSOR OF LLP1 1-mediated C-terminal processing in endosomes in Arabidopsis.2013
Author(s)
Tamaki, T., Betsuyaku, S., Hamasaki, R., Fujiwara, M., Fukao, Y., Fukuda, H., and Sawa, S.
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Journal Title
Plant J.
Volume: 6
Pages: 970-981
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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