2012 Fiscal Year Annual Research Report
Competition between viruses and intracellular antiviral immunity
Project Area | Molecular basis of host cell competency in virus infection |
Project/Area Number |
24115004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 尚志 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10156870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高折 晃史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20324626)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | ウイルス / ゲノム / 遺伝子 / 感染症 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスは感染によって宿主細胞に自然免疫応答を引き起こす。その1つとしてストレス顆粒の形成がある。生細胞でのストレス顆粒の形成を様々ウイルスで検討したところ、単にストレス顆粒を誘導するもの、一過的にストレス顆粒を誘導するものがあることを発見した。脳心筋炎ウイルス(EMCV)はピコルナウイルスに属し、一過的にストレス顆粒を誘導した。園原因はストレス顆粒の構成成分の1つであるG3BP1をウイルスのプロテアーゼ、3Cが切断することが原因となっていることを明らかにした。G3BP1の切断を阻害すると、誘導されたストレス顆粒は消失せず、園結果抗ウイルス応答の1つであるインターフェロンやその他のケモカインの産生が上昇することを見出した。これらの結果より、ストレス顆粒形成は宿主の抗ウイルス応答の1つであり、インターフェロン産生等に重要であることが明らかとなった。 1. APOBEC3の機能解析: APOBEC3Bが宿主のゲノムに変異を導入できることを証明し、発癌に関与する可能性を報告した。また、APOBEC3Bの遺伝子多型が、HIV-1感染の病態進行に及ぼす影響を解析した。 2. 阻害蛋白質であるVifの機能解析: VifによるTP53のSer15のリン酸化が細胞周期停止やウイルス感染増強に必須であることを証明した。また、Vif結合蛋白CBFβとの相互作用に必要な残基としてGlu88、Trp89を同定した。 3. SCID-huマウスモデルを用いたHIV-1の進化の検討:小柳班員らとの共同研究により、in vivoにおけるVifの役割を明らかにしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然免疫、内因性免疫に関して新たな成果が得られつつあり、解析の実験系を立ち上げに関してもそれが稼働し始めている。以上、総合的に大きな問題は無く進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
1)インフルエンザウイルスの非構造蛋白質であるNS1は強力な自然免疫応答の阻害をひきおこす。その阻害を解除するような化合物をライブラリーのスクリーニングで探索する。パラミクソウイルスに関してはウイルスの複製複合体と宿主の抗ウイルス応答によって誘導されるストレス顆粒の関連を解析する。MDA5は選択的に長鎖の二重鎖RNAを感知する。しかし単なる結合強度では説明がつかないため、長、短鎖の二重鎖RNAとの結合をATP、加水分解されないアナログの存在下で原子間力顕微鏡などを用いて解析する。VSVは大量のdefective interfereing RNAを作り、それがIFN誘導を行なうが、自然免疫を回避する機構を備えている、そのための阻害蛋白質は解明されておらず、標的となる宿主因子を探索する。 2)宿主の抗HIV-1因子であるAPOBEC3蛋白とそれに対抗するHIV-1のアクセサリー蛋白であるVif の攻防の解析を進める。Vifによる細胞周期停止機構:Vifは宿主のp53をリン酸化することによりG2 細胞周期停止を誘導し感染を増強することを見出したが、本年度はさらにp53をリン酸化するキナーゼの同定と、その活性化のメカニズムを明らかにする。Vifの構造解析:Vifが構成するユビキチンリガーゼ複合体のうち、Vif、CBFβ、ELOB、ELOCの4つからなる複合体に関しては純度90%、濃度10mg/ml程度への精製・濃縮が可能となった。これに関しては結晶化条件の検討を進める。また、これにCUL5、RBX1を加えた完全複合体に関しても精製条件の検討を進める。APOBEC3の分解調節機構:APOBEC3ファミリー蛋白の細胞内半減期を比較し、分解制御を受けるものを同定しその分子機構を解明する。
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Research Products
(8 results)