2012 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the working principle of repetitive motors driving protein export
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
24117003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (10243271)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | SecDF / SecA ATPase / SecYEG / タンパク質分泌 / 反復モータ / イオンチャネル / エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌のタンパク質膜透過反応には、基質タンパク質分子の通り道を形成するSecYEG トランスロコンと必須のモータ因子SecA ATPase, 膜タンパク質SecDFが主要な役割を示す。我々は、高度好熱菌由来のこれら全ての因子の高分解能の立体構造をX線結晶構造解析の手法により明らかにし、その構造に基づいた生化学的解析から、「SecA ATPase、SecDFは、各々ATP加水分解エネルギー、膜を挟んで形成される一価カチオン濃度勾配エネルギーを用いた構造変化を繰り返す事により、膜の両側から基質タンパク質分子を押し込む、あるいは引っ張る事により膜透過を駆動している。」とのモデルを提案している。 本年度は、SecDFによる反復モータの作動原理の解明を明らかとするために、構造変化を追跡可能なプローブの検索を進めた。具体的には、SecDFの非細胞質ドメイン(P1ドメイン)が、ある構造状態を形成した時にのみ、架橋が形成される位置に、光反応性のアミノ酸アナログpBPA(パラベンゾイルフェニルアラニン)を導入した変異型SecDを作製し、in vivo中で、架橋が形成されることを確認した。更に、プロトンの特異的なアンカプラーである、CCCPの添加により、この架橋形成効率が激減する事を見いだした。加えて、SecDFのプロトン透過活性に必須のアミノ酸残基を改変した変異体と組み合わせる事により、架橋が全く形成されなくなる事を確認した。これらの結果は、SecDFはイオン透過活性と共役する形で、P1ドメインの構造変化を引き起こしている事を示す結果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新学術領域研究開始の1年目であり、年度の後半から博士研究者を雇用して、研究を推進することを計画していたが、年度途中という事もあり、研究員を募集しても直ちに参加可能な人材を見いだす事が出来なかった。そのため、大学院修士課程の院生を指導しながら研究を遂行することとなった。院生の就職活動等により、研究が一時的に停止していたこともあり、当初の予定より若干遅れ気味である。しかしながら、2013年度の4月1日から、本研究課題に専念する博士研究員が既に1名加わっており、今後は予定通りに遂行可能と期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画を更に押し進め、カチオンエネルギーをタンパク質の動きのエネルギーに改変する動作機構の解明を目指す。更に、基質タンパク質分子とSecD P1領域内の相互作用部位に関しても新たな知見を得ているので、より詳細なデータの取得を目指す。 一方、SecYEG-SecDFインターフェイスの同定に関しては、必ずしも十分に検討できていないので、新規雇用の博士研究員を中心にして、精力的に研究を進める。相互作用部位の同定の後には、S-S結合形成実験等により、複合体を安定化させ、立体構造解析を連携研究者の塚崎と共に進める予定である。 連携研究者の塚崎智也博士と緊密な共同研究の基に、SecYE-SecDF複合体の構造解析に向けても取り組む予定である。
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Research Products
(3 results)