2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリット型生物モーターのイオン選択透過分子機構の解明
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
24117005
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 政博 東洋大学, 生命科学部, 教授 (80297738)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | べん毛モーター / 好アルカリ性細菌 / イオンチャネル / ハイブリッドモーター / 枯草菌 / 固定子 / プロトン駆動力 / ナトリウム駆動力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度に引き続き下記の3つのテーマについて研究を推進した。 テーマ1では、Bacillus属べん毛モーター固定子のイオン選択透過とモーター機能に重要なアミノ酸残基の同定を行っている。これまでにBacillus属細菌が持つMotPS型とMotAB型固定子のモーター機能に重要なアミノ酸残基を特定した。この成果は、平成26年度に論文として報告した。また、イオン選択透過に重要なアミノ酸残基としてB. alcalophilus 由来のNa+/K+駆動型固定子のMotSサブユニットの膜貫通領域の33番目のメチオニン残基をH+駆動型固定子で保存されているバリン残基に置換することでイオン選択性がH+駆動型へとダイナミックに変化する結果を得た。 テーマ2では、新規に自然界からアルカリ土類金属の2価カチオンを利用してべん毛を駆動させる菌体の単離を試みた。国内各地のサンプルからスクリーニングを行った結果、Ca2+含有量が豊富な日本国内の温泉地より候補株Paenibacillus sp. TCa20株の単離に成功した。TCa20株の全ゲノム配列を次世代シークエンサーで決定し、この株の固定子の塩基配列を取得し平成26年度に論文に報告した。TCa20株の遺伝子工学的手法は全く確立されていないので、遺伝子工学的手法が容易な枯草菌の系でこの固定子遺伝子の詳細な機能を検討した。現在までに、枯草菌の固定子を欠損させた運動性欠損株にTCa20株由来の固定子を発現させ、その運動性欠損を相補すること、この運動性がCa2+とMg2+濃度に依存していることを確認した。 テーマ3では、B. alcalophilusのNa+/K+/Rb+駆動型固定子MotPSの大腸菌での大量発現系の確立を行った。また、MotSのN末端側から55番目から90番目までの領域を段階的に欠損させたものを構築し、運動性や細胞膜への発現量を確認し、MotSの運動性に関与する最小機能領域を決定した(投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要に記したテーマ1に関しては、おおむね順調と考えている。枯草菌の固定子を実験材料としてイオン選択やモーターの回転に重要な領域の機能解析を行い、論文2報を報告することができた。また、イオン選択透過に関する新規な情報も得られているので、今後2年間で更に発展が期待できる。テーマ2に関しては、おおむね順調と考えている。新規べん毛モーター固定子を発見し、その詳細な解析を行なうことができ、投稿準備まで進んでいる。ゲノム解析に関して、平成26年度中に論文にまとめることができた。テーマ3に関しては、B. alcalophilus由来のMotPSのMotSサブユニットの最少機能領域の同定に成功したので、この情報を生かしてタンパク質の大量精製条件の確立や結晶化を進めていくめどが立った。また、最少機能領域に関する部分は、平成27年度の早い時期に論文にまとめるめどが立ったので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も上述の3つのテーマを推進する予定である。 テーマ1に関しては、Bacillus属以外のべん毛固定子のイオン選択透過性について対象箇所をMotA型サブユニットの3番目と4番目の膜貫通領域にも拡大して調べたいと考えている。すでにアライメントデータの結果より候補アミノ酸残基を選抜している。 テーマ2に関しては、現在、枯草菌を宿主として2価カチオンを利用してべん毛を駆動させ固定子の発現を活性がある形で観察することに成功した。今後、ビーズをモーターに付着させ1分子回転計測を行うために、一分子計測が容易な大腸菌の系でも機能する固定子を構築したいと考えている。これにより、これまで研究例がない2価カチオンを利用してべん毛を駆動させるモーターの特性を明らかにできると考えている。 テーマ3に関しては、連携研究者の大阪大学の今田勝巳教授の研究室の協力も得て、B. alcalophilus由来のMotPSのMotSサブユニットの最少機能領域の親水性タンパク質の結晶化を行う予定である。また、MotPSタンパク質複合体に関しても大量精製系を確立して、今田教授と結晶化へ向けての取り組みを推進する予定である。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Draft Genome Sequence of Bacillus alcalophilus AV1934, a Classic Alkaliphile Isolated from Human Feces in 1934.2014
Author(s)
Attie O, Jayaprakash A, Shah H, Paulsen IT, Morino M, Takahashi Y, Narumi I, Sachidanandam R, Satoh K, Ito M, and Krulwichc TA.
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Journal Title
Genome Announcements
Volume: 2(6)
Pages: e01175-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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