2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリット型生物モーターのイオン選択透過分子機構の解明
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
24117005
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 政博 東洋大学, 生命科学部, 教授 (80297738)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | べん毛モーター / 好アルカリ性細菌 / イオンチャネル / ハイブリッドモーター / 枯草菌 / 固定子 / プロトン駆動力 / ナトリウム駆動力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年度に引き続き下記の3つのテーマについて研究を推進した。 テーマ1では、Bacillus属べん毛モーター固定子のイオン選択透過とモーター機能に重要なアミノ酸残基の同定を行っている。これまでにBacillus属細菌が持つMotPS型とMotAB型固定子のモーター機能に重要なアミノ酸残基を特定した。今年度は、カブトムシの幼虫の腸内から分離されたBacillus trypoxylicolaのべん毛モーターがB. alcalophilus 由来のNa+/K+駆動型固定子に次ぐ、2例目のK+で駆動する固定子であることを明らかとした。この知見を活用してK+で駆動するべん毛モーターとNa+のみで駆動するべん毛モーターの違いを遺伝子工学的手法で明らかにしている。平成28年度の早い時期に、成果をまとめられればと考えている。 テーマ2では、平成26年度にある程度解析が進んでいたマグネシウムイオンやカルシウムイオンといった2価カチオンを利用してべん毛を駆動させるPaenibacillus sp. TCa20株の固定子を枯草菌の固定子を欠損させた運動性欠損株に発現させ、確かに二価カチオンが細胞内へ取り込まれていることやプロトン型やナトリウムイオン型固定子の阻害剤に非感受性であることを明らかとし、Scientific Reports誌に成果を公表することができた。 テーマ3では、B. alcalophilusのNa+/K+/Rb+駆動型固定子MotPSの大腸菌での大量発現系の確立を行った。また、MotSのN末端側から55番目から90番目までの領域を段階的に欠損させたものを構築し、運動性や細胞膜への発現量を確認し、MotSの運動性に関与する最小機能領域を決定した段階的欠損株を使って細胞内Na+とK+イオン濃度の測定を行い、固定子の機能の保持との関連性を明らかにでき次第、論文として投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要に記したテーマ1に関しては、おおむね順調に進展していると考えている。枯草菌の固定子を実験材料としてイオン選択やモーターの回転に重要な領域の機能解析を行い、イオン選択透過に関する新規な情報も得られているので、あと1年で更に発展が期待できる。テーマ2に関しては、おおむね順調に進展していると考えている。新規べん毛モーター固定子を発見し、その詳細な解析を行ない、論文にまとめることができた。テーマ3に関しては、B. alcalophilus由来のMotPSのMotSサブユニットの最少機能領域の同定に成功したので、この情報を生かしてタンパク質の大量精製条件の確立や結晶化を進めている。しかし、結晶化に向けた取り組みが遅延気味であるのでここに精力を傾けたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も上記の3つのテーマを推進する予定である。 テーマ1に関しては、新規なNa+/K+駆動型固定子を発見できたので、複数の固定子のアミノ酸配列を比較することからイオン選択透過性について解明を推進できることが期待される。テーマ2に関しては、遺伝子工学的手法を用いて部位特異的アミノ酸置換によってCa2+やMg2+のイオン選択性を規定しているアミノ酸残基の同定を推進する。また、二価カチオン型のべん毛モーター阻害剤が見つかっていないので、阻害剤の探索も含めて二価カチオン駆動型べん毛モーターの特性を明らかにしていく。 テーマ3に関しては、連携研究者の大阪大学の今田勝巳教授の研究室と協力して、Bacillus alcalophilus由来のMotPS複合体や部分断片の大量精製を行い、今田教授と結晶化へ向けての取り組みを推進する予定である。 この他に、共培養により運動性が向上するMethyrobacterium sp. ME121株の運動性向上に関与する因子を精製して、構造などの解析やべん毛モーターのトルク特性の解析を推進する。
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Research Products
(27 results)