2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
24117007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福森 義宏 金沢大学, その他部局等, 副学長 (60135655)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 原核細胞 / 細胞骨格 / ヘム蛋白質 / オルガネラ / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. マグネトソームとMamK細胞骨格の細胞内動態解析:マグネトソーム局在蛋白質MamC及びMamIとGFPの融合蛋白質をM. magneticum AMB-1に発現させ、斜光照明法を用いた蛍光顕微鏡観察することにより、細胞周期を通じたマグネトソームの生細胞観察に初めて成功した。野生株では、マグネトソームは細胞周期を通じて細胞長軸に沿った直鎖状に配置され、細胞分裂の際には娘細胞へ均等に分配される様子が観察された。一方、mamK欠損株では、マグネトソームは細胞内に分散しランダムに移動あるいは凝集体を形成していた。これらの結果から、「MamK細胞骨格」は「マグネトソーム」と相互作用し、マグネトソームを直鎖状に細胞内配置させることで、効率的な磁気センサーとして機能させると共に、娘細胞への安定伝搬にも貢献することが示された。 2. マグネトソーム形成蛋白質の機能解析:「マグネトソーム」の形成機構を明らかにするため、MamPと呼ばれるマグネトソーム蛋白質に着目し、その機能解析を行った。その結果、MamPはマグネトソームの磁鉄鉱結晶の成長に必須であること、その機能にはMamPへのヘムcの結合が必要であることが示され、MamPは磁性鉱物合成に関わる新奇のヘム蛋白質であることが明らかになった。 3. 高速AFMによる生細胞分子構造観察:微小な細菌の運動マシナリーの解析には、生細胞の分子マシナリーを直接観察する技術が必要である。そこで、高速AFMによる生細胞観察法の開発を目的として、大腸菌や光合成細菌の表面構造を観察した。その結果、外膜表面にポーリン分子により構成されるナノサイズの網目構造の観察に成功し、この構造がグラム陰性細菌に普遍的であることを示唆した。高速AFM による生細胞観察法は、多様な細菌種に適用可能であり、微生物学における新しい解析手法となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた二つの研究目的を達成した。具体的には、(1)「マグネトソームの生細胞観察」については、マグネトソーム局在蛋白質MamC及びMamIとGFPの融合蛋白質をM. magneticum AMB-1に発現させ、斜光照明法を用いた蛍光顕微鏡観察することにより、細胞周期を通じたマグネトソームの生細胞観察に初めて成功した。また、(2)「マグネトソーム局在ヘム蛋白質MamPの機能解明」については、MamPはマグネトソームの磁鉄鉱結晶の成長に必須であること、その機能にはMamPへのヘムcの結合が必要であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度において磁性細菌の磁気感応運動マシナリーを構成する超分子複合体「マグネトソーム」「MamK細胞骨格」を生きた原核細胞内で可視化するための技術基盤を確立した。これらの可視化技術を用い「MamK細胞骨格」の機能を、in vitro、in vivoの両面から解析し、「マグネトソーム」の伝搬機構や、磁気感応マシナリーにおける細胞骨格の機能メカニズムを分子レベルで明らかにする。また、磁性細菌のべん毛運動を高輝度暗視野顕微鏡あるいはべん毛繊維の蛍光ラベル法により可視化する。
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