2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
24121006
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武田 重信 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 光秀 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60466810)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋生態 / 物質循環 / 植物プランクトン / 栄養塩 / 微量金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.栄養供給に対する表層と亜表層植物プランクトン群集の増殖応答の違い 太平洋の各海洋区系において、有光層以深からの栄養塩や鉄供給が生じた場合に、植物プランクトン群集はどのような増殖応答を示すのか?また、その応答に関して表層と亜表層の植物プランクトン群集の間に違いがあるのか?といった疑問を明らかにするため、白鳳丸KH-14-3次航海において、2014年6~7月に中部太平洋西経170度線上の北緯10、20、35、50度の4測点で、表層10mと亜表層クロロフィル極大層の植物プランクトン群集を対象に船上培養実験を実施した。その結果、中部北太平洋では、亜寒帯の高栄養塩・低クロロフィル海域だけでなく、北緯35度付近においても、表層植物プランクトン群集の増殖に関して鉄が不足する傾向にあることが明らかになった。また、亜表層クロロフィル極大層付近の植物プランクトン群集では、亜熱帯の北緯20度付近まで、下層から供給される栄養塩に対して鉄が相対的に不足し易い環境となっていた。有光層下部における鉄の相対的な消費が大きいことは、表層群集の鉄制限を強化する要因の一つになっている可能性があると考えられる。 2.北太平洋におけるC-Pリアーゼ活性の測定 前年に合成したC-Pリアーゼ蛍光基質を用い、白鳳丸KH-14-3次航海における北太平洋南北測線において活性を測定した。表層における有意な活性は北緯20度付近の数測点に限られ、リン制限により現場の群集がC-Pリアーゼを発現させている可能性がある。また、測定されたC-P化合物分解速度は、これまでに測定されたリン酸エステルの分解速度の100分の1以下であり、C-P化合物は外洋において生物地球化学的に極めて反応性に乏しい有機態リン化合物であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北太平洋を広汎に調査した白鳳丸KH-12-3次航海(平成24年7月~8月)とKH-12-4次航海(平成24年8月~10月)、太平洋の中央部を南極海から北極海までカバーする西経170度の南北縦断測線に沿って観測した白鳳丸KH-13-7次航海(平成25年12月~平成26年2月)・KH-14-3次航海(平成26年6月~8月)・KH-14-6次航海(平成26年12月~平成27年1月)に乗船して、海洋現場における変動状況を把握するための栄養塩・溶存微量金属測定用海水試料や大気降下物質試料を採取するとともに、複数の海洋区系をカバーする形で海洋表層の現場植物プランクトン群集を対象とした船上での添加培養実験を予定通り実施することができた。 有機態リンの現場における利用に関してほとんど知見のなかったC-P化合物について、外洋における分解速度を測定することができた。また、この原因となっている生物を明らかにするために必要な遺伝子サンプルも採取しており、測定への準備を進めている。関連する外洋性の窒素固定生物の培養株も研究室において継続的に維持培養している。
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Strategy for Future Research Activity |
白鳳丸KH-13-7次およびKH-14-3次航海において実施した数日スケールの船上添加培養実験の結果について、植物プランクトン群集の組成変化などのデータ解析を進め、各海洋区における微量金属および栄養塩濃度と植物プランクトン応答の関連性を明らかにする。また、現場海域の鉄有機配位子の濃度および錯形成能に関する測定データに基づき、溶存無機鉄と有機錯体鉄による増殖促進作用の違いなど、化学種の影響についても検討を行う。 現場環境における特定の植物プランクトンの制限状態を診断するため、過去に採取した遺伝子サンプルの分析を試みる。また、現在維持している培養株を用いて測定条件を検討するとともに、各種遺伝子が発現する条件を明らかにする。必要に応じて、日本近海における研究航海に参加し、培養株ストックの充実を図るとともに現場遺伝子サンプルのライブラリーも増強する。
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[Journal Article] Interpretation of complexometric titration data: An intercomparison of methods for estimating models of trace metal complexation by natural organic ligands2015
Author(s)
I. Pizeta, S.G. Sander, R.J.M. Hudson, D. Omanovic, O. Baars, K.A. Barbeau, K.N. Buck, R.M. Bundy, G. Carrasco, P.L. Croot, C. Garnier, L.J.A. Gerringa, M. Gledhill, K. Hirose, Y. Kondo, L.M. Laglera, J. Nuester, M.J.A. Rijkenberg, S. Takeda, B.S. Twining, M. Wells
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Journal Title
Marine Chemistry
Volume: 173
Pages: 3-24
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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