2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
24121007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
千葉 早苗 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (40360755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
虎谷 充浩 東海大学, 工学部, 教授 (90246075)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋生態系 / 生元素 / 環境変動 / 太平洋 |
Research Abstract |
本課題は、篤志船舶による観測データ及び、衛星観測データを用いて、気候変動に対する生元素や生態系の応答過程の海域比較や、生態系・物質循環のリンクの解明を目標にしている。2012年度のハイライトとして、北太平洋における2001-2010年の炭酸系、栄養塩、プランクトンの分布や経年変動パターンが明らかになった。 炭酸系に関しては、DICグリッドデータの季節変動パターンをクラスター解析する事により、北太平洋域を10海域程度に区分する事が可能である事が判った。また8年間のDICグリッドデータをEOF解析すると、EOF第一モードの変動パターンが太平洋十年規模変動(PDO)のパターンとよく対応する事があきらかとなった。40°N以北の海域ではPDOに伴うSSSの変化と冬期混合層厚の変化、40°N以南ではSSSと大気海洋間CO2フラックスの変化がこの変動に大きく寄与していることが示唆された。栄養塩グリッドデータについても、EOFの解析結果はPDOあるいはNPGOとよく相関する事が確かめられた。 動物プランクトンに関しては、連続プランクトン採集器(CPR)データを用いて、経年変動パターンを145-170°E(WNP)と124-160°W(ENP)で比較したところ、両海域ともに2006/2007年を境にCCSが高くなる傾向がみられ、WNPでは特に顕著であった。主成分分析の結果、両海域に共通して2006年以降小型種(WNPではOithona spp.が、ENPではParacdalanus spp., Oithona spp.)が減少したことが、CCSの上昇の要因であることが分かった。SSTの経年変動はPDOパターンが顕著で、2006以降ではWNPで温暖化傾向、ENPで寒冷化傾向にあり、なぜ両海域ともに小型種が減少したのか、詳細なメカニズムを調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、篤志船舶による観測データを用いて、2000年以降の、北太平洋における炭酸系、栄養塩、プランクトンの分布特性や、海域毎に異なる経年変動パターンを調べた。その結果いずれの時空間変動も、太平洋十年規模変動(PDO)に関連した海洋の物理的変化に伴うものであることが明らかになり、気候フォーシングに応じたボトムアップな変動プロセスが示唆された。また、本科研費課題により生態系モデルを担当する研究員を2月より雇用し、観測データから示唆された分布パターンや変動メカニズムのモデルによる検証を行うための準備を開始した。以上、研究は計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、初年度に調べた炭酸系、栄養塩、植物/動物プランクトンそれぞれの分布/季節変動特性を総合的に解析することにより、生元素循環・海洋生態系構造から見た新たな海洋区を提案し、その長期変動パターンを明らかにすることを目標とする。また海洋区内における、物質循環と生態系の経年変動パターンを比較解析し、両者のリンクについて調べる。さらに、プランクトンの機能的多様性を考慮した生態系モデルを海洋モデルとカップリングすることにより、提案された海洋区の妥当性について検討し、海洋区の長期変動パターンを決めるメカニズムの解明に取り組む。
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Research Products
(8 results)