2014 Fiscal Year Annual Research Report
生命分子システムの有機化学的拡張による動的秩序の創出
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
25102006
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
芳坂 貴弘 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30263619)
|
Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
Keywords | 蛋白質 / 生体分子 / バイオテクノロジー / 非天然アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、非天然アミノ酸導入タンパク質の新規合成法の開発を行なった。非天然アミノ酸を基質とするアミノアシルtRNA合成酵素変異体とアンバーサプレッサーtRNAを大腸菌中で共発現させることで、非天然アミノ酸導入タンパク質を大量発現させる手法を確立し、これにより、光異性化分子や光架橋分子などを側鎖に有する非天然アミノ酸を導入したタンパク質の発現系を構築できた。その一方で、アミノアシルtRNA合成酵素変異体の活性向上とアミノ酸特異性改変を効率的に行うために、アミノアシルtRNA合成酵素変異体のin vitro selection法の開発を行った(A02松浦班員との共同研究)。無細胞転写・翻訳系とともに、アミノアシルtRNA合成酵素遺伝子とアンバーサプレッサーtRNAをリポソーム内部に封入し、非天然アミノ酸が導入された場合のみGFPが発現する選択系を構築した。実際にランダム変異を加えたアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子を用いて選択実験を行った結果、従来よりも活性の向上した変異体が取得できることを実証できた。 一方、時計タンパク質の構成成分となるタンパク質等に対して、非天然アミノ酸の導入系の構築を行い、無細胞翻訳系において蛍光標識分子や光架橋分子、光異性化分子などを導入できることを確認した。また、抗原の結合を蛍光レシオ変化として検出できる二重蛍光標識抗体を合成して、蛍光基の種類およびリンカー鎖長の最適化により、蛍光変化量を向上できることを示した。加えて、昆虫細胞由来のミクロソームと無細胞翻訳系を用いることで、蛍光標識アミノ酸導入タンパク質を膜上に発現できる手法の確立も行った。 さらに、非天然分子を間接的に導入する手法として、芳香族アミン含有非天然アミノ酸と修飾アルデヒドを用いてタンパク質を部位特異的に修飾する手法を開発しており、蛍光基や高分子鎖での修飾反応を評価し、いずれも高効率で修飾できることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非天然アミノ酸導入タンパク質の合成法については、複数種類の非天然アミノ酸について大腸菌を用いた大量発現系を構築でき概ね順調に進展しているが、非天然アミノ酸の種類によっては発現量が十分でなく、さらなる展開には至っていない。一方で、新たなアミノアシルtRNA合成酵素変異体の選択法を開発できたことから、今後はこの手法を活用して酵素の活性を向上させることで、非天然アミノ酸導入タンパク質の発現量の向上が期待できる。 また時計タンパク質などの動的秩序形成能を有するタンパク質への非天然アミノ酸の導入も概ね順調に進展しているが、上記と同様にその大量発現には課題がある。これに対しては、光応答性アミノ酸と蛍光標識アミノ酸を同時導入することで、無細胞発現系のみで得られる微量のタンパク質でも蛍光を用いて機能評価して、導入部位の最適化ができるように工夫している。 一方、非生体分子系をタンパク質へ導入する手法に関して、芳香族アミン含有アミノ酸とアルデヒドを用いた修飾方法を開発し、これまでに蛍光分子およびポリエチレングリコール鎖による修飾反応を用いてその有用性が高いことを実証できており、今後は非天然分子系の修飾へ応用していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
非天然アミノ酸導入タンパク質の大量発現系において、タンパク質の収量がまだ低く、改善を要する。そのために、新たに開発したリポソームを用いるin vitro selection法を活用して、非天然アミノ酸を認識するアミノアシルtRNA合成酵素変異体の活性向上を試みる。非天然アミノ酸導入タンパク質の発現量を向上させた後は、領域内での共同研究により時間分解測定等によるタンパク質の動的秩序形成過程の計測を試みる。 また、時計タンパク質の他にタンパク質分解系などの構成成分となるタンパク質に対して、光異性化分子、光架橋分子等を付加した非天然アミノ酸を導入することで、タンパク質間相互作用の可逆的な制御や、不可逆的なタンパク質間共有結合の形成を通じて、タンパク質の集合・離散過程を制御する。加えて、蛍光標識アミノ酸の導入により、タンパク質の集合・離散過程をFRET変化として計測するとともに、非天然アミノ酸導入タンパク質の細胞内への取り込みや、細胞内での発現を行ない、細胞内でのタンパク質動的秩序形成の制御と計測を試みる。 一方、芳香族アミン含有アミノ酸と修飾アルデヒドを用いたタンパク質の部位特異的修飾法に関して、この手法をさらに向上させるとともに、動的秩序形成能を有する非生体分子系のアルデヒド誘導体を合成してタンパク質へ部位特異的に付加することで、人工タンパク質の動的秩序形成能の評価を試みる。
|
-
[Journal Article] A cell-free translocation system using extracts of cultured insect cells to yield functional membrane proteins2014
Author(s)
Toru Ezure, Kei Nanatani, Yoko Sato, Satomi Suzuki, Keishi Aizawa, Satoshi Souma, Masaaki Ito, Takahiro Hohsaka, Gunnar von Heijine, Toshihiko Utsumi, Keietsu Abe, Eiji Ando, Nobuyuki Uozumi
-
Journal Title
PLoS One.
Volume: 9
Pages: e112874
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-