2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Dynamical Ordering of Artificial Molecules by Mimicking Biomolecular Systems
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
25102007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宗太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任准教授 (40401129)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 動的秩序化 / 多成分錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,数十を超える相互作用がつくり出す多成分錯体を基軸に,その構築過程に動的な秩序形成を組み込むことを目的とする. これまでに,36の構成成分からなる球状錯体の構築過程を,精密に構造解析をしながら追跡することで,複数の中間体構造を経て時間展開とともに構造が切り替わる「秩序の相転移」とも呼ぶべき現象をみいだしてきている.さらに構成成分を多くすると,前人未踏の巨大多成分錯体が生成し,少しの構造的要因や外部環境の違いによって,秩序の相転移がうまれると考えられる.従来の取り組みにおいては構成成分数を倍にした72成分錯体の構築に成功している. 本年度は,構成成分となる分子の堅さ/柔らかさ,という,動的な分子挙動の考察も含めた分子設計を行い,新たな90成分錯体の構築に成功した.さらに,精密な分子設計を進めたところ,異なる形状の90成分錯体が得られ,調製条件を厳密に検討することで,この錯体は中間体であることを見いだした.すなわち,平衡反応によって熱力学的に安定な144成分錯体が最終的な生成物として得られることを見いだした.これらの巨大錯体分子の構造は,放射光X線を用いた単結晶X線構造解析を中心に,精密に構造決定することができた.本成果は,従来の最多成分である72成分錯体に比べ,構成成分数を一気に2倍にすることに成功したことにとどまらない.従来はアルキメデス/プラトンの多面体型錯体が得られると予測されていたが,構成成分数が非常に多くなることで,合成例がない4価のゴールドバーグ多面体が得られるという全く新しい知見が得られた. 中間体から最終生成物への秩序の相転移を伴う,新たな多面体構造をもつ新物質群の創製は,動的秩序化によってはじめて生み出すことができ,生体分子系の秩序化にも迫る巨大構造をもち,本研究課題全体における重要な成果の一つである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
幾何学の分野では,グラフ理論をもとに定義されていた4価のゴールドバーグ多面体は,実際の分子としてはこれまでに発見されたことがない.現在までの研究の展開において,秩序化分子の構成成分の数を著しく増やしていくと,研究課題を提案した当初には予想することすらできなかった4価のゴールドバーグ多面体の構造をもつ錯体分子の創製にたどりついた.興味深いことに,秩序化の過程において,90成分の4価のゴールドバーグ多面体から144成分の4価のゴールドバーグ多面体へと,秩序の相転移がおこることも見いだし,まさに動的秩序化によってはじめて生み出すことができた,新しい物質群の分子であることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,これまでに実験的に明らかになってきた動的秩序化の機構に関する知見をもとに,理論的アプローチを併用することで根本的な理解を深めることをめざす.すでにA01班,A03班の理論化学の研究者とも連携して検討を開始しており,引き続き,得られてきている実験結果とよく一致し,よい予測ができる理論の確立にむけて研究を進める. また,動的秩序化を用いた複数成分からなる人工超分子の合成や,人工超分子と生体由来分子とのハイブリッド化による人工サイボーグ分子の合成検討を進め,新しい構造・機能を有する分子の創出をめざす.これまでの研究成果により,配位結合を使った錯体分子を合成できるのみならず,方向性を持たないファンデルワールス力だけを使っても有機超分子を合成できることがわかってきており,これら独特の形状を有する分子の動的な秩序化や,その分子の動的な 挙動に焦点を絞って,検討を加える. 精密合成によって構築した超分子であるために,分子構造が厳密に定ま っているという利点をいかし,構造と物性・機能との相関を,動的な観点も含めてくまなく明らかにできるように留意して研究を展開する.
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[Journal Article] Efficient blue electroluminescence from a single-layer organicdevice composed solely of hydrocarbonsAuthors2017
Author(s)
Izumi, T.; Yi, T.; Ikemoto, K.; Yoshii, A.; Koretsune, T.; Arita, R.; Kita, H.; Taka, H.; Sato, S.; Isobe, H.
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Journal Title
Chem. Asian J.
Volume: 12
Pages: 730-733
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Aromatic Hydrocarbon Macrocycles for Highly Efficient Organic Light-emitting Devices with Single-layer Architectures2016
Author(s)
Ikemoto, K.; Xue, J. Y.; Izumi, T.; Yoshii, A.; Kobayashi, R.; Koretsune, T.; Akashi, R.; Arita, R.; Taka, H.; Kita, H.; Sato, S.; Isobe, H.
Organizer
ACP-2016-Korea (ICCEOCA-11/ARNCEOCA-2)
Place of Presentation
Daejeon (Korea)
Year and Date
2016-10-27 – 2016-10-30
Int'l Joint Research
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[Presentation] Aromatic Hydrocarbon Macrocycles for Highly Efficient Single-Layer Organic Light-Emitting Devices2016
Author(s)
Ikemoto, K.; Xue, J. Y.; Izumi,T.; Yoshii, A.; Koretsune, T.; Akashi, R.; Arita, R.; Taka, H.; Kita, H.; Sato, S.; Isobe, H.
Organizer
Symposium on Frontiers of Molecular Science and Technology
Place of Presentation
東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)
Year and Date
2016-07-02 – 2016-07-02
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