2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子集団および人工分子集団の相互作用と大規模構造転換
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
25102009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70185487)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 生体分子系 / 人工分子系 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Research Abstract |
今年度の主な成果は以下のとおりである。まず、以前開発した、レプリカ交換傘サンプル法(Replica-Exhcange Umbrella Sampling: REUS)に基づくタンパク質分子への薬剤候補分子のドッキングシミュレーション手法をkinaseというタンパク質の系、2つ(p38とJNK3)に適用し、それぞれ、自由エネルギーの最小状態として、自然の立体構造を正しく予測することに成功した。また、p38の系においては、ドッキングする場所の近くのタンパク質の部分の構造を固定した場合と動けるようにした場合で、結果を比較し、固定した場合は、薬剤候補分子がタンパク質のポケット内にはいっていけないことを確認した。つまり、タンパク質の構造揺らぎが正しいドッキングが行われるのに必要なことを示した。これは、単純な、鍵と鍵穴モデルではドッキングが成功しないことを示している。更に、REUSだけでは、一度、薬剤候補分子がタンパク質のポケット内に入ってしまうと、外に出てくるのが至難の業になってしまう(よって、精度の高い自由エネルギー計算が難しくなる)という困難があったが、新たに、レプリカ交換溶質焼き戻し法(Replica-Exchange Solute Tempering: REST)も合体させた、REUSとRESTの2次元拡張アンサンブル法を開発した。この新手法によって、1回のシミュレーション中に薬剤候補分子が自由にタンパク質のポエット内に入ったり、出たりできるようになり、非常に精度の高い自由エネルギー計算ができるようになった。有望な手法の開発に成功したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に提案した、生体分子系に人工分子(薬剤候補分子)をドッキングさせる拡張アンサンブル法を更に改良することに成功した。これによって、薬剤候補分子が蛋白質のポケットに入ったり出たり自由にできるようになった。他の計画も準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
生体分子への薬剤候補分子のドッキングシミュレーションは、新手法の有効性を更に確認するために、他の具体例にも適用する。人工分子の構造予測については、具体的なターゲット分子を更に絞り込み、実際のシミュレーションを始める。量子効果を取り入れた拡張アンサンブルシミュレーションについては、小分子で有効性を確かめる。
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Research Products
(23 results)