2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子集団および人工分子集団の相互作用と大規模構造転換
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
25102009
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70185487)
|
Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
Keywords | 生体系 / 蛋白質 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、生体分子系及び人工分子系において有効な構造サンプル法として、遺伝的交叉とレプリカ交換法を合体した新手法を開発し、それを幾つかの小ペプチドや小タンパク質の系に適用して、完全に伸びた初期構造からシミュレーションを始めて、正しく実験で得られた自然の立体構造に折りたたむことを示した。これは従来の遺伝的交叉法やレプリカ交換法より有効であり、2つの手法の合体がうまく行ったことを示すことができた。また、水中の糖鎖のレプリカ交換分子動力学シミュレーションを実行し、同じ系の核磁気共鳴(NMR)実験の結果と比較し、良い一致が得られることを示すことができた。実験結果を計算機シミュレーションの結果を元に解析して、実験結果の理解を深めることができたのは、大変有意義なことである。更には、アルツハイマー病の原因物質とされている、βアミロイドペプチドのフラグメントのβシート構造形成率のペプチド濃度依存性を調べ、ある濃度以上になると、相転移的にβシート構造が形成されることを示すことができた。これは、ペプチドの種類によらず、むしろ、ペプチドの濃度がアミロイド形成率を支配していることを示唆している。また、昨年度、独自の開発に成功した拡張アンサンブルドッキングシミュレーション手法をタンパク質とリガンドの系に適用した。そして、自由エネルギー最小状態として得られたリガンドとタンパク質とのドッキング構造が、X線回折実験の結果とよく一致することを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で挑戦する生体分子や人工分子の系の立体構造予測に有効な新しい拡張アンサンブル法である、遺伝的交叉とレプリカ交換法を合体させた手法が完成できたので、重要な第一歩が踏み出せたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
拡張アンサンブル法を生体高分子を中心に適用してきたが、これからは、いろいろな人工の小分子系にも適用していく予定である。特に、小分子系では、量子効果も取り入れたシミュレーションが重要であり、これまでは古典力学系におけるシミュレーションに限ってきたが、これからは、量子効果も取り入れた拡張アンサンブルシミュレーションも実行して行く。
|
Research Products
(24 results)