2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子集団および人工分子集団の相互作用と大規模構造転換
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
25102009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70185487)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 生体系 / 蛋白質 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子の立体構造サンプリングを更に向上させる新しい拡張アンサンブル法として、Designed-Walk Replica-Exchange MethodとDeterministic Replica-Exchange Methodを新たに開発した。前者では、レプリカ交換において、温度空間の酔ランダムウォークではなく、決まったルートに従って温度を交換する手法であり、高温度と低温度の間を効率良く行き来させることができる。また、後者は、レプリカ交換において、温度対の交換をメトロポリス判定ではなく、微分方程式によって決める手法である。更に、レプリカ交換モンテカルロ法に基づく、膜タンパク質の立体構造の新しい予測法を開発した。以前我々が開発した手法では、膜貫通ヘリックスを剛体として扱っていたのを、ヘリックス構造のたわみを新たに導入した訳である。これによって、より精度の高い立体構造予測ができるようになった。この手法の有効性のテストとして、この手法を7本の膜貫通ヘリックスからなるバクテリオロドプシンの立体構造予測に適用し、自由エネルギー最小状態の一つとして、自然の立体構造を再現することに成功した。また、人工分子系では、錯体金属(Metal)とリガンド(Ligand)から自己組織化する球状錯体M12L24の立体構造形成シミュレーションをレプリカ交換分子動力学法に基づいて行い、実験で示唆される立体構造の形成に成功するとともに、もう一つの準安定構造に対応する立体構造も見出し、実験で得られた立体構造形成の中間状態の存在を提案した(論文準備中)。更には、国際共同研究として、特任助教を米国の国立衛生研究所のBernard Brooks博士の研究室に2ヶ月間派遣し、糖分子と蛋白質の相互作用についての共同研究を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体分子系で有効な新しい拡張アンサンブル法を複数開発するばかりでなく、人工分子系でも拡張アンサンブルシミュレーションが有効なことを示すことができ、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
生体分子系及び人工分子系で有効な拡張アンサンブル法の更なる開発に勤める。特に、これまでは、古典力学に基づく拡張アンサンブル法を中心に開発してきたが、これからは、量子効果を取り入れた拡張アンサンブル法の開発にも挑戦していきたい。
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