2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
25103012
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉川 研一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80110823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303842)
市川 正敏 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40403919)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 生命物理学 / 非平衡開放系 / 時空間秩序 / ソフトマター / 非線形ダイナミクス / 非平衡ゆらぎ / ゲノムDNA / 病態の物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
非平衡条件下、生物および非生物には時間空間に関する構造が現れる。この様な秩序を切り口とした生命現象の理解を試みた。重要な成果を中心に実績を報告したい。 フッ素系の油は、普通の油とは相分離するなど、化学的に特異な性質を示す物質として注目されている。弱揮発性のperfluorooctyl bromide (PFOB)を水面に滴下すると、水面上で薄膜を形成し、水面に対してPFOBが濡れた(wet)状態になる。徐々にPFOBが蒸発すると、突然薄膜上に空孔(hole)が現れ、その周りに液滴が自発的に配列する(pearling)する。空孔の成長に伴い、次の段階では、放射状に小滴群が1次元配列パターンを形成する。その後、この小滴群は全体として膨張・収縮を繰り返し、2次元のハチの巣構造(hexagonal)を形成するといった、時間発展が起こる。このような自発的な秩序と液滴の集団運動に関して、理論的な考察を行い、濡れ転移の非線形性を考慮することにより、このような規則構造の現れる機構を説明した。ここで、濡れ転移が、基本的には双安定性を示す現象であり、その速度過程は薄膜の厚みdの3次の非線形項で表されることが、理論モデルの骨格となっている。今回見出された現象は、生物の集団運動など、自然界にみられる非平衡開放条件に起因する時空間の自己秩序形成のメカニズムを理解するためのよいモデル系になると期待される。 さらに、ethanolなどの基質を室温で酸化することによる自己推進運動系の構築に成功している。生物の形態形成の力学モデル、spiralなどの秩序パターンの自己生成, DNAの非平衡構造転移, 大域的な遺伝子発現の臨界状態,などの研究が進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画は、いずれの課題も順調に進展してきている。それに加えて、予想外の需要な発見や、理論モデルの構築など、計画を大きく上回る成果が得られてきている。積的が自発的に形成する時空間の秩序構造や、生物の形態形成の力学モデル、spiralなどの秩序パターンの自己生成, DNAの非平衡構造転移, 大域的な遺伝子発現の臨界状態,などの研究の進展は著しいものがある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)一分子のゲノムサイズDNAの折り畳み転移:転移のメカニズムの解明を目指す。とくに、DNAな高度に荷電した高分子であり、対イオンである陽イオンとの空間相関が重要になる。DNA凝縮転移の実験とは大きくことなっていることが、吉川らの研究で明らかになってきている。本年は、疎視化モンテカルロ計算を進め(JCP 2015など)、平均場近似では取り込みにくい高度な相関効果を定量的に評価することを試みる。さらに、折り畳み転移により、転写や発現などの機能がどのように変化するのかといった課題も重視し、in vitro実験で定量的な反応速度解析を行う。 2)細胞サイズの特異性と病態解析: DNAを自発的にとりこんだモデル細胞系についての研究を一層推進し、転写や発現などの機能を定量的に計測することを目指す。一方、細胞に対する外部刺激の応答の数理物理モデルに関する研究を推進する。すでに、予備的な研究により、周期刺激の周波数に依存して、2段階の分岐が生じることを見出している。さらに理論研究と並行させて、細胞の周期刺激に対する応用についての実験を位置づける。細胞のモデル系で得られたこれまでの成果を発展させ、癌などの病態に切り込むような研究にまで発展させる。 3)マイクロ・ナノシステムにおける化学→運動のエネルギー変換系: 定常電場や定常的なレーザ照射により、ミクロ物体や流体に規則的な運動を引き起すといった、これまでの研究を一層発展させる。ethanolなどの基質を白金触媒存在下、空気中の酸素で酸化することにより、ミクロな物体の並進や回転運動を引き起こすことが可能になることを見出しているので、この方向の研究を推進することにより、化学反応の自由エネルギーを、等温条件下、直接運動に変化できるような実験系の確立を目指す。
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[Presentation] Physics of Life2016
Author(s)
Kenichi Yoshikawa
Organizer
Kyoto Winter School 2016, From Materials to Life: Multidisciplinary Challenges
Place of Presentation
京都大学
Year and Date
2016-02-15
Int'l Joint Research / Invited
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