2015 Fiscal Year Annual Research Report
柔らかな連続多点配位性を持つ有機多核金属複合体の創成
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
25104010
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40314380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩二 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70647198)
|
Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
Keywords | 合成化学 / 錯体化学 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、π-共役系不飽和炭化水素類と金属クラスターの間に形成される分子内界面型の多点連続π-配位結合に焦点を当て、その精密構築方法の開発と結合組み替え挙動の解明を進めている。既に前年度までに、長鎖π-共役系不飽和炭化水素を用いて、金属鎖との多点連続π-配位型連結を試み、これを実現している。さらに、金属鎖の核数を変化させた場合にも、長鎖π-共役系不飽和炭化水素と連結させることが可能であることも明らかにしている。平成27年度では、合成した金属鎖とπ-共役系不飽和炭化水素のハイブリッド化合物の物性を解明する検討をおこなった。まず、核数に依存した光吸収特性について、実験・理論計算両面から解明することに成功した。また、多点連続π-配位結合の結合組み替え挙動を解明するために、レドックスにより誘起される内部結合構造変化について詳細に検討した。その結果、酸化に伴い、ポリエニル位の脱プロトン化が起こることを見出した。生成物は、NMR、X線結晶構造解析により同定した。また、ヘテロ元素を含む芳香環が金属に対して柔軟に配位結合を変化させることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡がりのあるπ-共役系化合物に対して狙い通りに多核金属錯体を連続多点配位結合させるための合成技術を確立することを目指して研究を遂行し、巨大な連続多点π-配位結合を構築してその結合組み替え挙動を解明した。よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られている連続多点π-配位結合に関する知見に基づき、動的挙動の機構解明を重点的に進める。スリップ挙動の解明や光応答性についても検討を進めていく。さらに、これまでに用いてきた中性拡張π-共役系配位子に加えて、アニオン性拡張π-共役系配位子の連続多点π-配位結合形成能についても検討を進めていく。
|