2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental and applied sciences with reactor neutrinos
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
25105003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久世 正弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (00225153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
末包 文彦 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (10196678)
住吉 孝行 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30154628)
蓑輪 眞 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (90126178)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 原子炉 / 素粒子実験 / 放射線、X線、粒子線 / 安全保障 / 国際研究者交流(フランス) |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Double Chooz実験は、前置・後置両検出器データの解析の改善を進め、Gdを含むターゲット層と含まないγキャッチャー層を一体化して逆ベータ崩壊(IBD)反応を測定する方法を開発した。これにより統計量が3倍に増え、2つの層の間でのGd液体の移行に関する誤差にも不感となった。2016年9月のCERNセミナーおよび日本物理学会企画講演において新しい結果を暫定値(sin(2θ13))^2=0.119±0.016として発表した。この値は他実験より約2σ高い値となった。10月にソウルにおいて、原子炉3実験で初めての合同ワークショップを開催した。光電子増倍管の稀な発光現象に関する理解が進み、JINSTに査読論文として発表した。 (2)北里大学へ移設したPANDA64検出器は、シンチレータモジュールとデータ収集エレクトロニクスを追加・増強し、最終的な仕様であるPANDA100検出器を完成させた。2016年8-9月に、長期動作試験を兼ねて乗鞍山頂での雷雲測定を行なった。約1ヶ月の連続無人運転に成功し,基本動作の安定性を検証できた。 (3)東北モニターは、福井大と連携し、小型の波形弁別能力(PSD)を持つ液体シンチレータを用いた背景事象測定を大飯原発敷地内で行うべく電力会社との交渉を継続して行い、同時に来年度の現場測定に向けた準備を進めた。実験デザインを確定させるため、試作の測定システムを構築し、地上実験室で環境中性粒子事象の測定を行った。 (4)JSNS2実験で重要なオンバンチビーム中性粒子背景事象の中性子/光子比を、小型のPSDを持つ液体シンチレータを用いて検出器設置候補地で測定した。結果をモンテカルロ・シミュレーションに反映させ、中性子光子共に本実験に問題ない量であることを確認した。同時にスローモニター試作器を設置し、実際の実験を想定した遠隔モニターシステムの動作確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Double Chooz実験は他実験の用いていない、中性子のGd吸収とH吸収事象を合わせてIBD反応の解析をする手法を開発し、原子炉ニュートリノ実験に新たな方向性を示した。世界の原子炉3実験が同程度の誤差でやや一致しないθ13の値を出しているため、初めて全実験の専門家が一堂に会して詳細な技術討論をするワークショップを開催することに漕ぎつけた。北里大のPANDAおよび東北大のKASKAプロトタイプ原子炉モニターは、それぞれ設計していた最終性能を持つ検出器の開発をほぼ達成し、いつでも原子炉敷地内で測定が開始できるよう、調整を行っている。J-PARCにおけるステライルニュートリノの探索実験は実験設置場所での中性子および光子バックグラウンドの測定を行うことができ、他財源による本格的な装置設計へ情報をフィードバックすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Double Chooz実験は現在暫定値として出している測定結果を更に精査し、有名学術雑誌投稿論文としてまとめることが急務となる。次年度で研究の最終年度となるため、データ収集終了後の測定装置解体・光電子増倍管など高額部品の回収などについて技術的検討を進める。第2回の原子炉3実験によるワークショップをパリで開催する。2種の原子炉モニターは技術的にはほぼ完成に近い形になっているので、日本の原子力発電所の再稼働状況を注視しつつ、電力会社と測定再開に向けた交渉を継続する一方、宇宙線試験などを行って性能監視・改善を続ける。J-PARCでのステライルニュートリノ探索実験は予算化された液体シンチレータを用いるJSNS2実験の本格的建設へ向け試験測定データの解析を進めるとともに、水チェレンコフ検出器を用いる実験(E61)についても予算化へ向けて基礎的試験・現地でのバックグラウンド測定を進める。
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Remarks |
2016年度首都大学東京理工学研究科物理学専攻修士論文 町田篤志:Double Chooz検出器のエネルギー応答の研究とステライルニュートリノ探索
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Research Products
(33 results)
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[Book] 現代素粒子物理2016
Author(s)
末包 文彦、久世 正弘、白井 淳平、湯田 春雄
Total Pages
256
Publisher
森北出版
ISBN
978-4-627-15581-7
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