2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
25105005
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 滋 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00272518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 公宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (70361657)
間瀬 圭一 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80400810)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 宇宙線 / 南極 |
Outline of Annual Research Achievements |
IceCube実験による100PeV 以上の超高エネルギー宇宙ニュートリノ探索で発見された宇宙ニュートリノ事象の全体像を掌握するため、より低エネルギーに感度のある解析手法を開発し探索結果を公表した。周辺検出器を大気ミューオン・ニュートリノ雑音の除去のためのveto検出器として使用することが鍵となった。その結果、高エネルギー宇宙ニュートリノは少なくとも数十TeV以下程度の低エネルギー領域から存在していることが確証された。エネルギー分布はエネルギーのべき乗で近似できる非熱的分布であり、その到来方向は一様と考えて矛盾が無い。この観測結果は、銀河系外宇宙線が予想以上の流量で分布しており、多くの放射源が効率的なニュートリノ放射源であることを示唆している。更なる高統計観測を実現するため、拡張実験建設を視野に入れ新たな光検出器の開発にも着手した。
大気ニュートリノ事象のエネルギースペクトルを測定する解析も開始した。スーパー神岡実験のエネルギー感度領域とオーバーラップするエネルギー領域で高統計のデータサンプルを取り出す手法に開発に取り組んだ。約10%のサンプルデータを用いて、モデル関数をデータにフィッティングすることによりスペクトルを解析的に導出する方法を用いて、ミューオンニュートリノのスペクトル解析手法の実証試験を行い、その信頼性について評価し問題がないことを確認した。
ARA実験のエネルギーしきい値をPeV領域に下げる可能性を探るため、氷河中の電磁カスケードからの電波放射をGeant4を使いシミューレートするプログラムを開発し、来年度以降のシミュレーションスタディーの基礎作りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エネルギーしきい値を下げて宇宙ニュートリノを探索する最初の解析は予想より早く終了し結果を論文にまとめることができた。このため、さらに本質的な改善を追求するために検出器装置開発を前倒しで進めることができる。実際に高効率光電子増倍管の試験研究を開始した。
他の研究項目である大気ニュートリノ解析等は概ね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PeV領域の信号探索感度を向上させるための新たな光検出器の開発に着手する。またトラック事象を使った大気ニュートリノエネルギースペクトル解析を進め、最初の予備的結果を出す。エネルギー・天頂角度ビンごとに実データ数およびシミュレーションから求めた事象期待数を導出しフィットを行う。
氷河内での電波放射を far field 近似を使わずにシミューレーションするための開発研究を行い、ARA実験による PeV 領域のニュートリノ事象を正確に計算するための道具立てを整える。
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Research Products
(7 results)