2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
25105011
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
北野 龍一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50543451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 豊 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40599990)
伊部 昌宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (50599008)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ニュートリノ物理を足がかりに素粒子現象論・宇宙論・超弦理論の3つの方向から素粒子・宇宙・時空の背後に迫る究極理論に迫るものである。 本年度は、超対称模型の新しい可能性、暗黒物質の新しい可能性、また超弦理論に基づく真空の安定性の研究など、多岐に渡る研究成果をあげることができた。 宇宙線研グループは、超対称理論における超重力子に着目し、現在の宇宙の観測と照らし合わせ、どのような整合性のとれた可能性があるのか重点的に探った。特に、超重力子が軽いようなシナリオでは、ヒッグス粒子の質量を説明するために超重力子の質量に1eV程度の下限があり、将来の宇宙観測によりその整合性を確認することできることを指摘した。また、重い超重力子シナリオにおいては、超重力子が宇宙初期のバリオン数生成と整合性を保ちつつ暗黒物質となれる可能性についての研究を行い、ほとんどのパラメータ領域は棄却されていることを指摘した。 九州大学グループは、宇宙の歴史においての真空の安定性についての研究を行った。特に、超弦理論を用いてゲージ理論の解析を行うことにより、幾何学的に有限温度における真空崩壊現象を理解することができた。 KEKグループは、インフレーション直後の宇宙の再加熱期にバリオン数が生成された可能性について研究を行った。特に、インフレーション後に生成された高エネルギーニュートリノがエネルギーを失う過程でニュートリノ振動現象を起こすことにより、そのCPの破れからバリオン数が生成された新しい可能性を指摘した。 他にも、新しいアクシオン模型や新しい暗黒物質の可能性など、様々な成果があがっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
素粒子物理、宇宙論、超弦理論の最先端の情報や技術を取り入れ、まさに最先端の研究が実を結んでいる。ニュートリノ研究の現在最も重要な進展としてニュートリノ振動におけるCPの破れの探索があるが、今年度提案された、新しいバリオン数生成シナリオは、現在探索しているCPの破れが、我々の宇宙から反粒子が消えた謎「バリオン数生成の謎」と関連している可能性を示唆していて、今後の研究の方向性を与えている。また、暗黒物質の物理、ヒッグスの物理、真空の安定性の物理はそれぞれ、ニュートリノの質量起源を含めた素粒子全体像探求の研究には欠かせないものであり、今後の研究の融合が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、素粒子・宇宙・時空をテーマに広い視点から素粒子全体像に迫る。暗黒物質は標準模型を超えた物理を研究する上で大きなヒントとなることが期待されている。また、ヒッグス粒子の存在と役割は標準模型の核であるとともに、謎である。これと、バリオン数の謎・ニュートリノ質量の謎にはおそらく関連があるであろう。そこで、宇宙線研グループ・九州大学グループ・KEKグループは異なる視点から素粒子物理の謎を捉え、新しい可能性の創出と、全体像の構築を目指す。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] Why three generations?2016
Author(s)
Masahiro Ibe, Alexander Kusenko, Tsutomu T. Yanagida
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Journal Title
Physics Letters B
Volume: 758
Pages: 365-369
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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