2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
25106004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 剛久 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20220478)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 電子顕微鏡 / 電子分光 / 統計数学 / 電子磁気カイラル二色性 / 電子チャネリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な成果および進捗状況は以下のとおりである:①電子チャネリングを利用した格子欠陥の局所状態分析において、(1)EDX-EELS同時測定によるリチウムイオン二次電池正極のカチオンミキシングの解析(2)「動力学電子回折理論と第一原理電子状態計算の結合による定量」を行った.具体的には:(i)M型フェライトにおける磁気異方性促進添加元素の占有サイトと占有率測定:更に新規W型フェライトの分析へ拡張中.(ii)Y2Ti2O7輻射熱反射コーティング膜の添加Alの占有サイト評価:A03(キ)班との連携. ②電子磁気カイラル二色性(EMCD)測定の開発において、(1)Fe/MgO磁気トンネル界面のナノレベル磁気モーメントマッピング.(2)原子面分解能EMCD定量測定法の開発に成功した. ③多変量スペクトル分解法の開発では、新学術領域「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」及び公募班との連携によって、従来の懸案であった解の唯一性問題と成分数をデータから正しく求める手法を開発した. ④領域内連携研究による材料設計と創製において、(1)「Tiの表面酸化処理による骨伝導性発現機構の解析」および、(2)「フラッシュ焼結によるセラミック多結晶体の急速焼結とその機構解明に成果があった. ⑤さらに複合酸化物結晶最表面構造制御法の開発:「欠陥形成エネルギー差を利用した結晶最表面構造の制御法を開発」、複合酸化物薄膜における陽イオン比制御と新奇機能性薄膜の創製:「陽イオン比制御による高電子移動度SrTiO3薄膜成長」の二つの成果を挙げた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本助成金により,電子エネルギー損失分光(EELS),エネルギー分散型及び波長分散型X線分析(EDX/WDX),カソードルミネッセンス(CL)及び後方散乱電子検出器(BSED)を一台の走査透過型電子顕微鏡(STEM)に統合して配した複合電子顕微分光STEMのプロトタイプが完成した.我々は,現在世界のSTEM分析の主流である原子コラム毎の分析に対し,その弱みである比較的厚い試料における動力学的電子回折現象を積極的に利用する電子チャネリングを利用した新たな分析手法を確立した.特に収束電子ビームを試料上で走査する代わりに平行ビームを試料上の一点でロッキングさせることによって各分光データの回折条件に対する変化として捕らえ,特に機能元素の原子占有サイトを定量的に測定する手法を開発した.これらは現在フェライト磁石材料,次世代航空機タービンの耐環境保護膜,リチウムイオン電池などの分析に応用され,ユニークな成果を挙げつつある. また微細構造制御された磁性材料の分析に重要となる磁気角運動量の測定をナノメートル分解能で可能とする電子磁気カイラル二色性(EMCD)の測定法開発において,世界を主導する成果を挙げつつある. 以上の成果は,電子分光測定技術だけでは無く得られたデータの統計情報学に基づく処理技術に追うところが大きい.我々が早期に提唱した多変量スペクトルデータへの統計学の応用によって,近年必然的に膨大なサイズのデータを生むPC制御による網羅的自動測定データからそこに含まれる有為な情報を恣意的な走査無く抽出し,その空間分布を可視化する手法が大きな発展を遂げた.これは今後ナノ材料の分析技法の一つとして不可欠な要素となることが期待されている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は特にこれまで開発してきた測定及び分析技術を具体的な材料分析へと応用していくことが主要な方策となる. (1)電子磁気カイラル二色性(EMCD)測定の応用: 前年度に確立した原子面分解能EMCD測定法によって(i)鉄の結晶粒界と粒内の磁気角運動量の測定,(ii)磁性金属/酸化物界面(磁気トンネル接合モデル)の磁気モーメント定量マッピングに応用する. (2)ビームロッキング領域のナノレベル化と各種分光器制御システムの統合:ナノビームロッキングへとレンズ電流設定を拡張する.すでにメーカー技術者との打ちあわせによって数nmφまで実現する.またEDX検出器のみが別PCで制御されているが,これらをすべて一つのプラットフォーム(DigitalMicrographTM)上に統一して同時制御・測定可能な形に仕上げる. (3)スペクトラムイメージデータからの材料物性データマイニング技術開発:前年度まで低ランク行列分解法を適用した物性画像診断法を改良した.今後二種類以上の検出器による同時複合分光データに対応するために,従来のTwo-way解析を拡張し,いわゆるテンソル分解法の応用を図る. (4)領域内連携研究による材料設計と創製への計測支援:上記新しい分析手法を順次応用し,特に公募班との連携を強化する予定である.
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Research Products
(69 results)
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[Journal Article] Assessment of Strain-Generated Oxygen Vacancies Using SrTiO3 Bicrystals2015
Author(s)
SY. Choi, SD. Kim, M. Choi, HS. Lee, J. Ryu, N. Shibata, T. Mizoguchi, E. Tochigi, T. Yamamoto, SJL. Kang, Y. Ikuhara
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Journal Title
NANO LETTERS
Volume: 15
Pages: 4129-4134
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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