2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
25106007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 裕道 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (80372530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 秀典 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (80598136)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ層 / 電界変調法 / 鉄系超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
【独自電界変調法を駆使したナノ構造情報獲得の高効率化手法の開発】(太田、片瀬、大学院生)絶縁体を電気が流れる磁石に―情報記憶容量の大幅向上に新たな道― 室温・空気中で、安全に、コバルト酸ストロンチウムに内包されている酸素比率を変化させ、電気を通さず(=0)、磁石にもつかない(=B)絶縁体の状態から、電気を良く通し(=1)、磁石につく(=A)状態に、可逆的に切替えることに成功した。精密な作製技術を駆使して10 nmの孔が多数開いた、ナトリウムを含む酸化物の薄膜を、コバルト酸ストロンチウムに貼り付け、その上下に電極を被せた「電池」のような構造を作製した。ナトリウム酸化物薄膜の小さな孔に空気中の湿気が入り込むことで、膜の中のナトリウムがわずかに溶解し、アルカリ溶液が染み込んだ状態になる。電流を流すことで酸素比率が100%の電気を良く通す磁石に、逆方向に電流を流すことで元の絶縁体に、室温で可逆的に変化させられることを発見した。 【ナノ層中に意図的に形成した粒界・構造欠陥と輸送特性との関係解明】(平松、大学院生)鉄系超伝導体の臨界温度が4倍に上昇― 絶縁性薄膜に電界印加で35ケルビンに ― 鉄系超伝導体の一つである鉄セレン化物「FeSe」のごく薄い膜を作製し、8 Kで超伝導を示すバルクの4倍高い35 Kで超伝導転移させることに成功した。FeSe薄膜が超伝導体ではなく、絶縁体のような振る舞いを示すことに着目し、電気二重層トランジスタ構造を利用して電界を印加することにより実現した。トランジスタ構造を利用したキャリア生成方法は、一般的な元素置換によるキャリア生成とは異なり、自由にかつ広範囲にキャリア濃度を制御できる特徴がある。このため、元素置換によるキャリア添加が不可能な物質でも適用が可能なことから、今後の鉄系層状物質でより高い超伝導臨界温度の実現を狙う有力な方法になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下表に本A02(カ)班の研究業績の年度別推移を示す。研究開始当初(2013年度)は、北大Gの研究室立上げ期であり、研究成果のアウトプットがほとんどない状態だったが、本科研費により北大Gの設備環境を1年で垂直立上げできたことで、2014年度には7報、2015年度には14報の論文を出版することができた。2016年4月時点で投稿・審査中の論文も複数報あり、2016年度には更なるアウトプットの増加が見込まれる。なお、研究業績を直接反映する論文数と招待講演数だけではなく、新聞・テレビでの報道数が大きく伸びており、科研費で研究を行う上で最も重要な、研究成果の社会・国民への発信も着実に行えるようになってきた。 年度 論文 招待講演 知的財産 新聞・テレビ 受賞 2013 0 1 0 1 0 2014 7 3 0 2 4 2015 14 16 1 7 6
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究状況を踏まえ、領域CS課題を中心に、他研究班と密接に連携し、以下の研究を推進する。 1) 触媒・イオニクス材料:電気化学的な酸化還元反応を利用することで、これまでに、オンデマンド赤外線透過・遮断デバイスや、電気抵抗変化と磁化の変化を利用した新しい情報記憶デバイスを実現した。これらの研究にはすべて酸化物単結晶を基板材料として用いたが、実用化のためには安価なガラス基板上に作製する必要がある。今後は、ナノ層表面や電解質/ナノ層界面における電気化学反応を可視化することで、これらのデバイスの動作機構を解き明かすとともに、ガラス基板上でのデバイス動作を実現する。 2) 機能性セラミックス材料:鉄系超伝導体ナノ層の数ある組成の中でも、本班が現在世界最高性能を示しているP添加BaFe2As2の人工粒界形成に注力する。このナノ層形成と、A01(イ)との連携によるナノ層の原子レベルでの可視化を行うことによって、新物質である鉄系超伝導体の更なる高性能化に対して、新たなマイルストーンを投じる。また、低消費電力なエレクトロニクスの構成素子であるスピントロニクス素子用材料として注目されている(La,Sr)MnO3系ペロブスカイト酸化物のナノ層を作製し、電流による磁壁移動により磁化反転可能な電流誘起磁壁移動デバイスの開発を行う。
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Remarks |
北大G:2016.3.29オンライン出版された論文をプレス発表。3/30北海道放送HBCニュース、3/30化学工業日報、3/30 OPTRONICS、4/8科学新聞、4/16読売新聞で「北大が新しい記憶装置を開発」などとして報道された。 東工大G:2016.3.29オンライン出版された論文をプレス発表。4/4化学工業日報、4/5日経産業新聞に「鉄系超電導体の探索法」などとして紹介記事が掲載された。
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Research Products
(73 results)
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[Presentation] A transparent electro-chromic transistor2015
Author(s)
M. Hirono, T. Katase, H. Ohta
Organizer
PACIFICHEM2015 (The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2015)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, Honolulu (米国)
Year and Date
2015-12-15 – 2015-12-20
Int'l Joint Research
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[Presentation] Molecular beam epitaxy growth of FeSe thin films2015
Author(s)
Kota Hanzawa, Hikaru Sato, Hidenori Hiramatsu, Toshio Kamiya, and Hideo Hosono
Organizer
The 9th International Conference on the Science and Technology for Advanced Ceramics (STAC-9)
Place of Presentation
Epocal Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki
Year and Date
2015-10-19 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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[Presentation] Computational Identification of Earth-Abundant Ternary Nitrides2015
Author(s)
F. Oba, Y. Hinuma, T. Hatakeyama, Y. Kumagai, L. A. Burton, Y. Muraba, H. Sato, H. Hiramatsu, I. Tanaka, and H. Hosono
Organizer
The 9th International Conference on the Science and Technology for Advanced Ceramics (STAC-9)
Place of Presentation
Epocal Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki
Year and Date
2015-10-19 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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