2016 Fiscal Year Annual Research Report
SOI技術を用いた極低ノイズ・高速イメージングデバイスの研究
Project Area | Interdisciplinary research on quantum imaging opened with 3D semiconductor detector |
Project/Area Number |
25109003
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川人 祥二 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40204763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池辺 将之 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374613)
香川 景一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (30335484)
安富 啓太 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (50621661)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 量子イメージング / 電荷収集構造 / イベント駆動型量子エネルギー計測 / 広ダイナミックレンジ / 時間デジタル変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
電荷収集型高感度量子線ディテクタによる新構造SOIピクセルであるBPSPIX (Backgate Pinned SOI Pixel)に関し、裏面や側面の電界強度を低くできる表面空乏型BPSPIXを用いたセンサアレイにおいて、従来構造に比較して暗電流を約1/10に低減できることが確認された。また、変換利得についても、100uV/e-が得られ、ピクセル内回路のノイズとして約6電子を得た。これにより、イベント駆動型の量子線ディタクタとしてのエネルギー分解能を、従来に比較して大きく改善できる見通しを得た。高ゲインによる低ノイズ化と可変ゲインによる広ダイナミックレンジ化を可能とするイベント駆動型検出回路についてもアレイセンサとして動作を確認し、180uV/e-と50uV/e-の2種類の高変換利得が得られることが確認された。BPSPIXを用いた高近赤外感度ロックインピクセルを用いた光飛行時間(TOF)距離センサについては、実際の距離画像(空間距離分布)の取得が行えることを確認するとともに、950nmを超える波長まで高い量子効率を保持できること、高ダイナミックレンジ信号読み出し回路の動作確認と良好な線形性の確認、裏面の反射防止構造の工程確立等の成果を得た。 生体内分子イメージング質量分析用ION到達速度検出ピクセルに関しては、ダイナミック型SRAMにより、1ns解像度で全ピクセル同時イベントを記録する構造の動作実証を確認した。また、新規読み出し機構の特許出願を行った。量子イメージング用3次元設計環境構築に関しては、確立した検証方式に則して3次元積層試作チップの実装を行いデバイスの正常動作を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電荷収集型高感度量子線ディテクタによるBPSPIXと称する新構造SOIピクセルとして、特に表面空乏型BPSPIX により優れた低暗電流特性と、低読み出しアンプノイズ性能を得て、従来よりもエネルギー分解能を大幅に高めたイベント駆動型量子線ディテクタの実現見通しを得ることができた。 イベント駆動超高感度・低ノイズ・高ダイナミックレンジフォトン検出回路についても、2つの高変換利得のスイッチングが行えること等、エネルギー計測範囲を従来よりも大幅に広げつつ、エネルギー分解能の高い計測が可能な量子線ディテクタの実現の見通しを得ることができた。高近赤外感度の特徴を備えたロックインピクセルセンサについては、距離分布計測の実証、高ダイナミックレンジ回路の動作検証、高量子効率化などの成果を得ている。 D02班(物質科学)との連携に基づくサイエンス応用SOIピクセルセンサの共同開発にも着手し、目標機能の実証を行っている。新規提案技術の特許出願を2件行っている。 以上の成果を得ていることから、当初計画に対して研究は概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
電荷収集型高感度量子線ディテクタによるBPSPIX(Backgate Pinned SOI Pixel)として特に高速応答・低暗電流において有利な電子検出・表面空乏型に関し、ディテクタ部の基本構造を完成させ、これを応用した高エネルギー線撮像デバイス、時間分解撮像デバイスを試作し、従来方式に対する優位性を実証する。具体的には、以下の通り進める。 高エネルギー分解能のX線検出器としての性能を明らかにするため、ピクセル単位で既に得られている低ノイズ性能に相当するエネルギー分解能が得られることを測定によって明らかにする。また、高感度(低ノイズ)と広ダイナミックレンジを両立し、高エネルギー分解能と広いエネルギー計測範囲を実現するピクセル回路については、イベント駆動動作をさせ、高いエネルギー分解能と、利得のスイッチング動作に基づく広ダイナミックレンジエネルギー弁別計測が行えることを実証する。これらの評価結果を踏まえて、さらなる低ノイズ化と、より高い電荷変換利得を実現するべくディテクタ部の構造最適化と低ノイズ回路設計を行い、8×8画素以上のアレイを用いたイベント駆動型量子線イメージングデバイスを試作し、低ノイズ化(目標:8電子以下)による高エネルギー分解能を実証する。高近赤外感度時間分解撮像デバイスについては、新規導入した裏面反射防止構造と、高速電荷収集構造に基づく高分解能化を可能とする1次元画素アレイを試作し、940nm帯等での長距離計測における有用性を実証する。 生体内分子イメージング質量分析用ION到達速度検出ピクセルにおいて、デジタル型と同時に解像度を高めるためにアナログ積分型センサを設計し、時間情報を連続時間A/D変換器(特許出願済み)の構成の設計試作を行う。また、3次元設計用チップについて、TEG試作評価結果に基づき、センシング部とロジック機能を有するピクセル回路の3次元設計試作を行う。
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[Journal Article] Reduction of cross-talks between circuit and sensor layer in the Kyoto's X-ray Astronomy SOI pixel sensors with Double-SOI wafer2016
Author(s)
S. Ohmura, T-G. Tsuru, T. Tanaka, H. Uchida, A. Takeda, H. Matsumura, M. Ito, Y. Arai, I. Kurachi, T. Miyoshi, S. Nakashima, K. Mori, Y. Nishioka, N. Takebayashi, K. Noda, T. Kohmura, K. Tamasawa, Y. Ozawa, T.Sato, T. Konno, S. Kawahito, K. Kagawa, K. Yasutomi, H. Kamehama, S. Shrestha, K. Hara, S. Honda
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Journal Title
Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A
Volume: Vol.831
Pages: 61-64
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] X線天文衛星搭載を目指したイベント駆動型SOI検出器のピクセル構造に関する研究開発2017
Author(s)
武田彩希, 鶴剛, 田中孝明, 松村英晃, 伊藤真音, 大村峻一, 林秀輝, 新井康夫, 森浩二, 西岡祐介, 武林伸明, 横山聖真, 幸村孝由, 玉澤晃希, 大野顕司, 根岸康介, 鑓田敬吾, 中島真也, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha
Organizer
日本物理学会 第72回年次大会(2017年)
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型X 線撮像分光器の開発21: 大面積X 線SOI ピクセル検出器の性能評価2017
Author(s)
林秀輝, 鶴剛, 田中孝明, 内田裕之, 武田彩希, 松村英晃, 伊藤真音, 大村峻一, 新井康夫, 三好敏喜, 倉知郁生, 中島真也, 森浩二, 西岡祐介, 武林伸明, 横山聖真, 幸村孝由, 玉澤晃希, 根岸康介, 大野顕司, 鑓田敬吾, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha
Organizer
日本天文学会2017年春季年会
Place of Presentation
九州大学(福岡県福岡市)
Year and Date
2017-03-15 – 2017-03-18
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[Presentation] 広視野監視カメラに向けた大面積X線SOIピクセル検出器の開発2016
Author(s)
林秀輝, 鶴剛, 田中孝明, 内田裕之, 武田彩希, 松村英晃, 伊藤真音, 大村峻一 , 新井康夫, 三好敏喜, 倉知郁生,中島真也 , 森浩二, 竹中亮太, 西岡祐介, 武林伸明, 野田向輝, 幸村孝由, 玉澤晃希, 小澤祐亮, 佐藤将, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha
Organizer
第7回SOI新学術領域研究会
Place of Presentation
Spring-8(兵庫県佐用郡)
Year and Date
2016-11-22
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[Presentation] X線天文衛星搭載を目指したイベント駆動型SOIピクセル検出器の大面積化へ向けた開発2016
Author(s)
武田彩希, 鶴剛, 田中孝明, 松村英晃, 伊藤真音, 大村峻一, 林秀樹, 新井康夫, 森浩二, 西岡祐介, 武林伸明, 横山聖真, 幸村孝由, 玉澤晃希, 小澤祐亮, 佐藤将, 中島真也, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha
Organizer
日本物理学会 2016年秋季大会
Place of Presentation
宮崎大学 木花キャンパス(宮崎県宮崎市)
Year and Date
2016-09-21 – 2016-09-24
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型X線撮像分光器の開発16: 裏面照射型X線SOI ピクセル検出器の軟X線性能評価2016
Author(s)
林秀輝, 鶴剛, 田中孝明, 内田裕之, 武田彩希, 松村英晃, 伊藤真音, 大村峻一, 中島真也, 新井康夫, 三好敏喜, 倉知郁生, 森浩二, 竹中亮太, 西岡祐介, 武林伸明, 野田向輝, 幸村孝由, 玉澤晃希, 小澤祐亮, 佐藤将, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha, 吉岡献太郎
Organizer
日本天文学会2016年秋季年会
Place of Presentation
愛媛大学(愛媛県松山市)
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-16
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型X線撮像分光器の開発17:Double-SOI 構造のP 型基板センサーの性能評価2016
Author(s)
伊藤真音, 鶴剛, 田中孝明, 武田彩希, 内田裕之, 松村英晃, 大村峻一, 林秀輝, 中島真也, 新井康夫, 倉知郁生, 三好敏喜, 森浩二, 西岡祐介, 武林伸明, 横山聖真, 幸村孝由, 玉澤晃希, 小澤祐亮, 佐藤将, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太,亀濱博紀, Sumeet Shrestha, 原和彦, 本多俊介
Organizer
日本天文学会2016年秋季年会
Place of Presentation
愛媛大学(愛媛県松山市)
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-16
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型X線撮像分光器の開発19:これまでの到達点と今後の開発2016
Author(s)
鶴剛, 伊藤真音, 大村峻一, 林秀樹, 松村英晃, 武田彩希, 内田裕之, 田中孝明, 中島真也, 新井康夫, 三好敏喜, 倉知郁生, 森浩二, 西岡祐介, 武林伸明, 横山聖真, 新井真弥, 坂倉聖奈, 福田昂平, 幸村孝由, 玉澤晃希, 小澤祐亮, 佐藤将, 川人祥二, 香川景一郎, 安富啓太, 亀濱博紀, Sumeet Shrestha
Organizer
日本天文学会2016年秋季年会
Place of Presentation
愛媛大学(愛媛県松山市)
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-16
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