2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子アーキテクトニクスに向けた機能性分子合成と構造物性相関解明
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
25110004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80362622)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / ナノ材料 / 有機導体 / 少数電子素子 / 分子アーキテクトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の全体構想は有機合成化学・構造有機化学に基づく機能性π電子系開発を切り口として、有機分子のエレクトロニクス応用に向けて基盤となる学術的成果を得ることである。この中で本研究では、分子アーキテクトニクスの実現に不可欠な“分子コンポーネント”を系統的に設計・開発し、分子構造に基づく物性と機能を明らかとすることを目的とする。具体的には、金属電極-有機分子界面での局所電子状態の解明と電荷輸送能の調節を目指した新規なアンカー分子、および、分子導線を開発する。さらに、これらの特徴を活かすことで、単分子ナノエレクトロニクス材料や集積化機能材料へと展開する。本年度は、2-エチルヘキシル基導入スピロ置換フルオレンを嵩高い置換基に用いたチオフェンを繰り返し単位とするオリゴマー合成に関して、触媒的カップリング反応の条件を改良することで、完全に被覆したチオフェン24量体までの単分散オリゴチオフェンの合成に成功した。電子吸収スペクトルを測定したところ、鎖長伸長に伴って吸収極大の長波長シフトが観測された。この結果から、嵩高い置換基を導入しているにもかかわらず、高い共役平面性を保持していることが示唆される。アンカー分子に関しては縮合多環芳香族化合物をアンカー官能基に用いた三脚型アンカー化合物を系統的に合成し、金およびグラファイト電極への接合能の評価を行った。その結果、金電極に対してはヘテロ環芳香族をアンカーとする化合物で吸着が観測され、なかでも、チオフェンのα位で結合したアンカー化合物が高い吸着能を示した。一方、グラファイト電極に対しては縮合多環芳香族炭化水素をアンカーとする三脚化合物で吸着が観測され、ペリレンをアンカーとする分子で最も吸着することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子ワイヤに関しては、予想以上に鎖長伸長が達成でき、アンカーに関しても、系統的な分子開発と評価まで達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
分子ワイヤに関しては基礎物性評価と電気伝導特性評価に注力する。アンカーに関しては今年度までの知見をもとに設計した第二世代の分子合成に着手する。
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Research Products
(20 results)