2015 Fiscal Year Annual Research Report
RNA制御を介した生殖細胞の性特異的エピゲノムの確立
Project Area | Analyses and regulation of germline epigenome |
Project/Area Number |
25112002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / 性分化 / 精子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞の雌性分化に関与するSmad4及びStra8のダブルノックアウト生殖細胞の性質をさらに発生後期にかけて解析を行った。E9.5, 10.5のタモケシフェン投与後E14.5からさらに培養系で3日から5日培養を行い、雄マーカーの解析を行った。その結果、Nanos2, DNMT3Lに引き続き、DNAのメチル化を示すシグナルが検出された。さらに未分化精子細胞のマーカーである、PLZFが検出された。したがって、雌の体細胞環境下における生殖細胞の雌から雄への性転換が確認できた。また今年度はSmad4及びStra8による性転換に伴なって変動する下流因子の同定をめざして、生殖細胞特異的ダブルノックアウトマウスの胎児の雌生殖巣を単離して、マイクロアレイ解析を行った。その結果、生殖細胞の遺伝子プロファイルが雄型に変化している一方、体細胞の遺伝子発現は雌型を示し、生殖細胞特異的な性転換が証明できた。またSmad4の単独ノックアウトマウスにおいて減数分裂の開始は正常におこるがその進行が妨げられていることが分かった。また遺伝学的解析を短期間で効率よく行うために、ES細胞を介したキメラ解析系を確立した。すでに生殖細胞特異的なノックアウトの解析に成功している。
Nanos2とDND1の相互作用をin vivoで解析するための、マウス(Nanos2-venusN/DND1-venusC)を持つマウスラインが確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで遺伝子機能の解析には変異マウスを作製し、マウスの交配により解析を進めてきたが、多くのマウスを維持し、交配しても目的とする遺伝字型が得られない場合も多い。最近のCas9法の利用により、ES細胞で組み換え体をとりそれを利用してキメラ解析が可能になった。これを利用するとどのような遺伝子型でも準備可能であり、非常に効率よく目的の細胞を得ることができることが分かった。今後の解析はすみやかに進行できると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Smad4の下流及び、Stra8の下流の同定、さらにこれらの因子の標的遺伝子の同定が今後必須になってくる。性分化に関わるシグナル系の詳細と、その制御機構の解明を目指して、解析に必要なマウスを作製するとともに、新たな遺伝子の機能解析はキメラ解析によって今後進めていけると考えている。
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Research Products
(11 results)