2016 Fiscal Year Annual Research Report
精子幹細胞のエピゲノム安定性と発がんとの関係の解析
Project Area | Analyses and regulation of germline epigenome |
Project/Area Number |
25112003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては発がんと体細胞のリプログラミングに重要とされているc-MycとN-Myc遺伝子の役割の解析を行った。c-MycとN-Mycの遺伝子を欠損したノックアウトマウスの作成を行ったところ、それぞれの片方の遺伝子を欠損した場合には特に異常は見られなかった。しかし、c-MycとN-Mycの両方を同時に欠損させたマウスにおいては精子幹細胞の自己複製分裂が著しく低下することが明らかになった。自己複製分裂の低下は試験管内のみならず生体内においても継代移植で確認された。自己複製分裂の低下の原因を調べたところ、グルーコース代謝の異常が見つかり、c-Myc/N-mycを欠損した精子幹細胞は解糖系が低下していることが明らかとなった。 この解糖系の異常を克服する分子をスクリーニングした結果、PS48という体細胞からのinduced pluripotent stem (iPS)細胞の樹立を亢進させることが報告されている小分子化合物がPdkp1遺伝子のリン酸化を介してc-Myc/N-Mycの発現を促進することで精子幹細胞の自己複製を亢進させることを明らかにした。 培養精子幹細胞であるGermline stem (GS)細胞は従来DBA/2から樹立されてきたが、C57/BL6においてはその樹立は困難であった。そこでDBA/2とB6系統のマウスの生殖細胞における解糖系の活性を調べてみたところ、DBA/2の系統においてはより強く解糖系の活性化が見られることがわかった。 この結果は解糖系の活性化レベルがGS細胞の樹立と関連があることを示していたために、PS48を用いてC57BL/6の精巣細胞を培養したところ、予想通りGS細胞の培養が可能となった。これらの成果はMycが精子幹細胞のがん化に関与するのみならず、生理的な状態では解糖系の促進に働くことで精子幹細胞の自己複製を制御していることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Myc、Mycnのノックアウトマウスの解析はマウスに表現型がなかったために困難であった。しかしながら、二重に遺伝子をノックアウトすると明快な症状をしめしため、順調に成果をまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、PS48が精子幹細胞のリプログラミングに働く作用を持つか否かを検討する。昨年度までの実験でDmrt1とp53遺伝子を同時にノックダウンしたGS細胞からは多能性幹細胞であるmultipotent GS細胞が樹立できるという実験系を確立してある。この実験系においてPS48もしくはMyc遺伝子を導入することで解糖系の刺激を亢進させることで、どの程度解糖系がGS細胞のリプログラミングに影響するのかを明らかにする。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Adeno-associated virus-mediated delivery of genes into mouse spermatogonial stem cells.2017
Author(s)
Watanabe, S., Kanatsu-Shinohara, M., Ogonuki, N., Matoba, S., Ogura, A., and Shinohara, T.
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Journal Title
Biol. Reprod.
Volume: 96
Pages: 221-231
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Myc/Mycn-mediated glycolysiss enhances mouse spermatogonial stem cell self-renewal.2016
Author(s)
Kanatsu-Shinohara, M., Tanaka, T., Ogonuki, N., Ogura, A., Morimoto, H., Cheng, P. F., Eisenman, R. N., Trumpp, A.., and Shinohara, T.
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Journal Title
Genes Dev
Volume: 30
Pages: 2637-2648
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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