2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
25113003
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深城 英弘 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80324979)
|
Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
|
Keywords | 植物 / 発生・分化 / 遺伝子 / シロイヌナズナ / 突然変異体 / 根 |
Outline of Annual Research Achievements |
維管束植物の根系は、水分・養分の吸収、地上部の支持など、個体の生育にとって重要な役割を果たす。しかし、種によって異なる根系パターンの多様性を生み出す機構など、根の成長・発生の機構には未解明な点が数多く残されている。本研究では、植物が進化させてきた「根の成長・発生ロジック」の解明を目指し、シロイヌナズナおよび近縁種のアブラナ科タネツケバナ属を用いて主に以下の3つの研究項目に取り組む。 <研究項目1:側根の発生ロジック>シロイヌナズナの側根形成開始は、オーキシン誘導性転写活性化因子LBD16によって制御される。そこで、LBD16の下流遺伝子として同定したTOLS1(機能未知タンパク質)、TOLS2(推定ペプチド)、PUCHI(AP2型転写因子)遺伝子の発現制御と機能について解析した。その結果、TOLS1は側根形成を正に制御するのに対して、TOLS2とPUCHIは側根形成を負に制御することが示された。特に、TOLS2がPUCHIの機能を介して側根形成頻度を低下させること、およびTOLS2ペプチドがPUCHIの転写を誘導することを示した。 <研究項目2:放射パターン形成ロジック>根の皮層と内皮が1層ずつのシロイヌナズナでは解析できない皮層の多層化機構について、根の皮層が2層(皮層2層・内皮1層)からなるタネツケバナ属ミチタネツケバナを用いた解析を行った。皮層・内皮始原細胞の娘細胞における並層分裂の様式に異常を示す変異体をミチタネツケバナから複数単離し、それらの原因遺伝子を複数同定した。 <研究項目3:根の成長・発生を制御する未知の代謝システム>根端分裂組織の維持に必須なプラスチド型フルクトース1,6-二リン酸アルドラーゼ1(FBA1)の変異体を用いて、根の成長・発生に関わる代謝物質を同定する目的で、サンプルの予備的な検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで研究項目1、2に力を注いだため、3については当初の目標よりやや遅れたが、おおむね順調に進展している。特に<研究項目1>では、側根形成開始を制御する転写活性化因子LBD16の下流において、TOLS2がコードする推定ペプチド(TOLS2ペプチド)がPUCHIの機能を介して側根形成頻度を低下させること、およびTOLS2ペプチドがPUCHIの転写を誘導することが示された。また、TOLS2-PUCHIによる側根形成抑制シグナリングに関わる因子を順遺伝学的・逆遺伝学的に同定した。これらの結果から、側根の形成頻度を制御する新たな制御機構の存在を示唆することができ、当初の目標をおおむね順調に達成した。 一方、<研究項目2>では、ミチタネツケバナの根の皮層・内皮層の形成に異常のある突然変異体の解析から、皮層・内皮層の形成に必要な遺伝子としてシロイヌナズナSHORT-ROOTのホモログ遺伝子ChSHRを同定することができた。また、サイトカイニン応答に関わる遺伝子も皮層・内皮層の形成に関わることが示唆され、当初の目標をおおむね順調に達成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究項目1と2については興味深い成果が順調に得られており、それぞれ早い段階での成果公表を目指す。同時に研究項目3も今後の本格的な共同研究により進展させる。 <研究項目1>側根形成開始を制御する転写活性化因子LBD16の下流において、TOLS1が側根形成を正に制御する機構について、TOLS1遺伝子の機能欠損植物を作出し、解析することにより明らかにする。また、PUCHI遺伝子レポーター系統を変異原処理した次世代から、TOLSペプチドによるPUCHI遺伝子レポーターの発現誘導パターンが変化する変異体を複数単離しているので、これらの変異系統について引き続き遺伝学的解析と表現型解析をさらに進めるとともに、原因遺伝子の同定に向けてマッピングおよび次世代シーケンサーによる変異箇所の同定を行う。 <研究項目2>ミチタネツケバナから単離した根の皮層・内皮層の形成に異常のある他の突然変異体について、表現型を解析するとともに、原因遺伝子を同定する。 <研究項目3>根の成長・発生に関わる代謝物質を同定する目的で、野生型およびfba1変異体における糖代謝産物をメタボローム解析によって定量・比較する。
|
Research Products
(14 results)
-
[Journal Article] Altered Levels of Primary Metabolites In Response To Exogenous Indole-3-Acetic acid in Wild Type and Auxin Signaling Mutants of Arabidopsis thaliana: A Capillary Electrophoresis-Mass Spectrometry analysis.2015
Author(s)
Anegawa A., Ohnishi, M., Takagi, D., Miyake, C. Shichijo, C., Ishizaki, K., Fukaki, H. and Mimura, T.
-
Journal Title
Plant Biotechnology
Volume: 32
Pages: 65-79
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Xylem Pole Pericycle Cells Are Crucial for Gall and Giant Cell Development during Arabidopsis and Root-Knot Nematodes Interaction, Providing Molecular Links to Lateral Root Formation.2014
Author(s)
Cabrera, J., Diaz-Manzano, F.E., Sanchez, M., Rosso, M.N., Melillo, T., Goh, T., Fukaki, H., Cabello, S., Hofmann, J., Fenoll, C., Escobar, C.
-
Journal Title
New Phytologists
Volume: 203
Pages: 632-645
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Establishment of a shortened annual cycle system; a tool for the analysis of annual re-translocation of phosphorus in the deciduous woody plant (Populus alba L.).2014
Author(s)
Kurita, Y., Baba, K., Ohnishi, M., Anegawa, A., Shichijo, C., Kosuge, K., Fukaki, H., Mimura, T.
-
Journal Title
J Plant Res.
Volume: 203
Pages: 632-645
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-