2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
25113004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 恭子(大橋恭子) 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90451830)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 植物 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
維管束幹細胞形成の分子機構を明らかにするために、鍵となる転写因子複合体LONESOME HIGHWAY-TMO5 LIKE1 (LHW-T5L1)の機能解析を行った。LHWとT5L1はいずれもbHLHタンパク質であり、ヘテロダイマーを形成して、転写因子として機能する。 今年度は、LHW-T5L1が発現制御する遺伝子のうち、特に植物ホルモンであるサイトカイニンの制御に関連する遺伝子の詳細な解析を進めた。LHW-T5L1は、根端分裂組織の道管前駆細胞において、サイトカイニン合成の最終段階の合成酵素であるLONELY GUY3 (LOG3)とLOG4、および、サイトカイニンのシグナル伝達を制御する因子であるAHP6の発現を直接正に制御することを明らかにした。これにより、根端分裂組織の道管前駆細胞において、LOG3およびLOG4の機能により活性型サイトカイニンが作られる。そして、このサイトカイニンが周囲の細胞に拡散し、その細胞がサイトカイニンに応答することで、維管束幹細胞の分裂活性化が起こることを明らかにした。また、道管前駆細胞では、LHW-T5L1により発現誘導されるAHP6が、サイトカイニンのシグナルを負に制御するため、サイトカイニンに応答せず細胞分裂も起きないこともわかった。 以上の解析から、維管束幹細胞形成の際には、LHW-T5L1はサイトカイニンをシグナルとして用い、維管束幹細胞の分裂を活性化する分子機構を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
維管束幹細胞形成を明らかにするために今年度予定していたサイトカイニンに関連した解析を、順調に進めることができた。また、その内容を学術誌に発表した。以上のことから、今年度の研究の達成度は高いと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、LHW-T5L1の下流で働くサイトカイニンによる維管束幹細胞の分裂活性化のメカニズムを明らかにした。今後は、同じくLHW-T5L1により制御されることが示唆されているサーモスペルミンが作用する機構を詳細に解析する。また、LHW-T5L1を過剰発現させた培養細胞における代謝産物についても、ワイドターゲットメタボローム解析を進めていく。ゼニゴケにおけるLHW、T5L1の機能解析を行う。
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Research Products
(6 results)