2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の脳機能老化メカニズムの解明を通じた記憶ダイナミズムの理解
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
25115004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久恒 辰博 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (10238298)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 記憶 / 脳老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶機能は加齢とともに低下する。本研究では、記憶機能が低下した脳機能老化モデルマウスを用いて、その記憶機能を通常マウスと比較することにより、記憶機能低下の原因をつきとめる。我々はこれまでに、脳梗塞モデル動物やアルツハイマー病モデルマウスを用いた研究から、記憶機能が低下するメカニズムの一つに脳血管障害を伴う脳組織内炎症があることを見出してきた。そこで本研究では、当該モデルマウスを用いて、機能機能が低下した状態のマウスの海馬からmRNAを抽出し、マイクロアレイ用のアンプルを調整し、通常マウスの遺伝子発現様式と違いを調査した。その結果、炎症に関わる複数の分子群において、その遺伝子発現が変動していること、さらにはGABAやアセチルコリン神経系の遺伝子においても発現変動があることを認めた。 また、本研究においては、脳機能老化モデルマウスとして、加齢に伴い海馬新生ニューロンの数が減じることに基づいて、新生ニューロンのシナプス機能を特異的に制御できるマウスを遺伝子組み換えを用いて作成した。そして、この特異的機能阻害マウスを利用し、申請者が新たに導入した高分解能マウス用14.1T-MRI装置を用いて、これらモデルマウスと通常マウスの脳神経回路の構造と機能の違いを明らかにすべく、今年度は、まずはその研究手法の開発を進めた。そのために、マウスより機能MRI画像を取得する方法を確立するとともに、その画像データを解析する方法を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルツハイマー病モデルマウスを用いた研究において、マイクロアレイ解析により、記憶機能が低下するメカニズムに関与する複数を候補遺伝子を選び出した。また、高分解能マウス用MRI装置を用いて、マウスの記憶研究を行うための研究手法が確立できたため、おおむね順調に進展していると判断できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アルツハイマー病モデルマウス研究においては、定量PCRを用いて候補遺伝子の選び出しを進めるとともに、高分解能マウス用MRI装置を用いた記憶研究においては、さらに装置の開発を進めるとともに、画像撮影方法を改良をさらに進め、マウス記憶研究を進展させていく。
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Research Products
(1 results)