2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of synapse remodeling by glial assembly
Project Area | Glial assembly: a new regulatory machinery of brain function and disorders |
Project/Area Number |
25117006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 繁男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60204012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 浩一 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (00303272)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | グリア / シナプス刈込み / 神経回路発達 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
生後発達早期のマウス大脳皮質の感覚野と小脳皮質を扱い、技術的には二光子顕微鏡法と電気生理学的手法を用いたシナプスリモデリングの評価を行った。平成28年度には錐体細胞の樹状突起スパインとミクログリアの個体レベルでの二光子顕微鏡法による直接観察を行い、また電子顕微鏡によるグリアとシナプスの相互関係の定量を継続した。また小脳においてはミクログリア欠損が刈り込みに与える影響についてさらに解析を推し進めた。 (1)大脳皮質:前年度までの研究で脳透明化手法によるミクログリアとアストログリアの空間配置についてのデータの取得が終わり二つの細胞種間ではお互いの位置関係が独立していることが明らかになった。このデータから、シナプス動態に直接関与するのはミクログリアの細胞体の位置であることが示唆された。さらにこの点を確認するため樹状突起スパインとミクログリアの個体レベルでの同時観察を実施し、ミクログリアの細胞体からの距離がスパイン動態を制御していることを確認した。電子顕微鏡による解析では、新たに自閉症モデルマウスのサンプルで実験を行い、シナプスと接触するアストログリアが増加することを見出した。 (2)小脳皮質:ミクログリア分布の形態学的な解析から、登上線維シナプス刈り込みが始まる生後8-10日前後に、ミクログリアがプルキンエ細胞層に一時的に局在することを見出した。また、昨年度から作出を進めていたCsf1rミクログリア特異的欠損マウスの解析において、生後発達期小脳からミクログリアが欠失していることを確認すると同時に、登上線維シナプス刈り込みに障害が見られることを明らかにした。発達時期を追ってシナプス刈り込みの異常が見られる時期を解析し、生後10-12日から始まるシナプス刈り込み過程に影響が見られることを確認した。この結果は、ミクログリアの関与に発達時期特異性があることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、大脳皮質、小脳皮質のいずれの部位においてもグリア細胞、特にミクログリアのシナプスリモデリングに与える影響について研究が進められ、興味深いデータが得られつつある。これまでの研究の進捗はほぼ予定通りであると考えている。最終年度である平成29年度は更にシナプスの形成・除去に対するミクログリアの役割を明確にし、これまでの研究の論文化を目指す。 (1)大脳皮質:前年度までの研究により、大脳皮質におけるミクログリアとアストログリアの空間配置に関する情報を脳透明化手法により得ること、二光子顕微鏡により個体レベルでミクログリアの配置とシナプス動態の間の関係を解析し、ミクログリアからの距離が樹状突起スパインの動態に密接に関連することを示すことが出来た。更にアストロサイトとシナプスの関係については自閉症モデルマウスにおける変化も含めて電子顕微鏡による解析データの取得がほぼ終了している。本年度はこれらの実験データを取りまとめて論文化を目指す。 (2)小脳皮質:前年度までの複数手段を用いた解析から、ミクログリアがシナプス刈り込みに関与することはほぼ間違いないことが確認された。本年度はミクログリアによる刈り込みの制御機序を明らかにすることを目的として解析を行う予定である。同時にこれまでのデータのとりまとめも進めており、本年度中の論文化を目指す。ほぼ計画通りに研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の様に、ほぼ計画通りに大脳皮質および小脳皮質での研究が進展している事から、最終年度には特に以下の項目に重点を置いて研究を行う。 (1)大脳皮質:これまでに取得した脳透明化によるグリアの配置データを更に解析し、異なった細胞種の間での組織内での位置関係についての知見を得る。また二光子顕微鏡による個体イメージングを用いてミクログリアの突起の短時間での形態変化を追跡し、細胞体の近くと遠くでどのような違いがあるのかを検討する。電子顕微鏡による解析では自閉症モデルマウスのシナプスとアストロサイトの接触が増加していることが明らかとなったので、この接触の増加の原因が単純にアストロサイトの形態変化に依存するものなのかを電子顕微鏡・光学顕微鏡により明らかにする。 (2)小脳皮質:最終年度は刈り込みにおけるミクログリアの機能的意義を明らかにするため、登上線維の貪食について形態学的手法を用いて解析する。また、登上線維の刈り込みは他の細胞からの入力線維の成熟(興奮性の平行線維シナプスや抑制性シナプス)にも依存することが知られているため、ミクログリアが他のシナプスの形成を促進し、間接的にシナプス刈り込みを制御している可能性についても解析する。これまでの解析データをまとめて論文投稿を行う。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] AMPA glutamate receptors are required for sensory-organ formation and morphogenesis in the basal chordate.2017
Author(s)
Hirai, S., Hotta, K., Kubo, Y., Nishino, A, Okabe, S., Okamura, Y. and H.Okado
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] CAPS1 RNA Editing Promotes Dense Core Vesicle Exocytosis.2016
Author(s)
Miyake, K., Ohta, T., Nakayama, H., Doe, N., Terao, Y., Oiki, E., Nagatomo, I., Yamashita, Y., Abe, T., Nishikura, K., Kumanogoh, A., Hashimoto, K., Kawahara, Y.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 17
Pages: 2004-2014
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The Metabotropic Glutamate Receptor Subtype 1 Mediates Experience-Dependent Maintenance of Mature Synaptic Connectivity in the Visual Thalamus.2016
Author(s)
Narushima, M., Uchigashima, M., Yagasaki, Y., Harada, T., Nagumo, Y., Uesaka, N., Hashimoto, K., Aiba, A., Watanabe, M., Miyata, M., Kano, M.
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Journal Title
Neuron
Volume: 91
Pages: 1097-109
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ionic Basis for Membrane Potential Resonance in Neurons of the Inferior Olive.2016
Author(s)
Matsumoto-Makidono, Y., Nakayama, H., Yamasaki, M., Miyazaki, T., Kobayashi, K., Watanabe, M., Kano, M., Sakimura, K., Hashimoto, K
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 16
Pages: 994-1004
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Fast 3D visualization of endogenous brain signals with high-sensitivity laser scanning photothermal microscopy.2016
Author(s)
Miyazaki, J., Tadatsune, I., Tanaka, S., Hayashi-Takagi, A.,,Kasai, H., Okabe, S., and T. Kobayashi
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Journal Title
Biomedical Optics Express
Volume: 7
Pages: 1702-1710
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Genetic manipulation of mTORC1 signaling in mouse cerebellar Purkinje cell.2016
Author(s)
Kassai, H., Sakai, Y., Nakayama, H., Maeda, T., Hashimoto, K., Kano, M., Aiba, A.
Organizer
Neuroscience 2016 annual meeting Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego (USA)
Year and Date
2016-11-12 – 2016-11-16
Int'l Joint Research
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[Presentation] A mutation in CACNA1G causes autosomal dominant spinocerebellar ataxia.2016
Author(s)
Morino, H., Matsuda, Y., Muguruma, K., Miyamoto, R., Ohsawa, R., Ohtake, T., Otobe, R., Watanabe, M., Maruyama, H., Hashimoto, K., Kawakami, H
Organizer
第39回 日本神経科学学会大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2016-07-20 – 2016-07-22
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