2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Empathic system |
Project/Area Number |
25118007
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50347308)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | マウス / 共感 / 情動伝染 / 社会シグナル / 帯状回 / PAG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,フットショックを用いた野生種マウス(MSM)における情動伝染様式の解析である.本年度は,前年度の共同研究(No.2014-A84)から得られた結果をふまえ,iPad mini 4を用いた動画再生実験を行った.実験用系統であるC57BL/6J(B6)雄マウスに,0.99mAのフットショックを12回与えた様子を撮影し,その動画をiPadで再生できるよう設定した.動画再生時間は計13分間で,B6を実験箱に入れてから7分間(以下,preと記す),フットショックを12回受けている4分間,その直後の刺激のない2分間という内訳である.実験日には,B6雄マウスにフットショックを5回与え,その際に排尿した尿を採取した.同時に別室では,MSM雄マウスに前述した動画を呈示した.動画呈示時に,別室で採取したB6の尿を共呈示する群と,コントロールとして蒸留水を共呈示する群という2条件を設け,MSMの1分間におけるすくみ行動(freezing)発現率を比較した.その結果,preにおける1分間当たりの平均すくみ行動発現率を1としたとき,尿呈示群は平均で3.83のfreezing増加がみられたが,蒸留水呈示群では1.75に留まった.このことから,フットショックを受けた異系統マウスの尿呈示により,MSMにおける情動伝染の受容反応は増強されることが明らかとなった.また,本研究の目的である情動伝染様式の解析という点においては,情動伝染のシグナルとして嗅覚情報が重要であることも示唆された. 同じ実験系を用いたC57BL/6の恐怖情動伝染モデルでは、他者の痛みを受容したマウスの前帯状皮質における神経活性の上昇が認められた。この活性指標とすくみ行動は正の相関を示した。また情動行動に関係すると言われている扁桃体では相関が認められず、すくみ行動の中枢であるPAGでは相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は共感性を司る分子調節機構の解明である。分子が外的に働く機能をMSMを用いたユニークな系で明らかにしつつある。また脳内では帯状回が関与することを明らかにしてきた。業績には記載できなかったが、共感性を高めることが知られているオキシトシンが、ヒトとイヌの絆形成を担っていることをScience紙に発表し、社会的関係性を高めることで、オキシトシンが共感性を促進している可能性を、異種間でも示した。これらは特筆に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
MSMモデル:フットショックを受けていないB6の尿呈示を条件とした同内容の実験を行うことで,尿中に含まれる物質がfreezing反応を促進するのか,あるいはフットショックという恐怖条件下において放出される警報フェロモンのような物質が情動伝染に関与するのかを調べていくため,関連した実験を行う予定である。 C57BL/6モデル:前帯状皮質からPAGへの直接投射経路の可視化、さらにはその回路における神経興奮とすくみ行動の関係を明らかにする。これまでの神経活性指標としてのC-fosに加え、ファイバフォトメトリを導入し、リアルタイムでの神経活性をモニタする。またこの回路の人為的操作による情動伝染の変化を明らかにする。 ヒトイヌ:オキシトシン神経系の共進化によって、ヒトとイヌの共感性が高まったと考えられたことから、オキシトシン神経系に関与する遺伝子を網羅的にしらべ、行動との関連解析を実施する。
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[Journal Article] Structure and function of neonatal social communication in a genetic mouse model of autism.2015
Author(s)
T. Takahashi, S. Okabe, P. Ó Broin, A. Nishi, K. Ye, M. V. Beckert, T. Izumi, A. Machida, G. Kang, Seiji Abe, J. L. Pena, A. Golden, T. Kikusui, N. Hiroi.
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Journal Title
Molecular Psychiatry
Volume: Dec15
Pages: 190
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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