2015 Fiscal Year Annual Research Report
スパースモデリングに基づくデータ駆動解析による地球プロセスモデルの構築
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
25120005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
駒井 武 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30357024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 敦 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40422092)
桑谷 立 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 研究員 (60646785)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | スパースモデリング / ベイズ推論 / モデル化 / 津波堆積物 / 土壌 / 岩石 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高次元・大量の地球科学データに潜む本質的な物理化学プロセスや構造を抽出する普遍的な枠組みを構築する.具体的には下記の四つの課題を軸にしつつ,様々な学融合的共同研究を通じて強力に研究を推進した. 【課題1】「津波堆積物の地球化学判別の高精度化と歴史大津波堆積物への適用」では,前年度に開発した全探索法による2011年東北沖津波堆積物の地球化学判別基準を仙台平野で採取された連続的地層データに適用した.その結果,過去の歴史津波を示唆するような特徴的な地層をいくつか発見することができた.【課題2】「津波堆積物の物理化学的挙動の解明と環境リスク評価」については,クラスター分析と主成分分析を用いて津波堆積物中の重金属の性質を解析したほか,因子分析を用いて,仙台平野の河川堆積物由来の重金属類元素の環境動態・影響を評価した.【課題3】「新たに開発したデータ解析法の固体地球科学への応用」では,スパースモデリング班(B01-2)・堀公募班と共同することで,GPSデータからプレート境界の地震後の余効すべり量空間分布を正確に推定する方法を開発した.本手法は,ベイズ推論と疎性モデリングを有効に組み合わせたもので,さまざまな応用が期待できる.また,物理モデリング班(B01-3)と共同することで,岩石組織の核形成プロセスを統計力学的にモデル化した.【課題4】「データ駆動による地球物質循環モデルの構築」は,研究計画の順調な進捗状況に伴い当該年度から新たに設定した課題であるが,非線形班(C01-1)と共同することで,多元素データから地球科学プロセスと原岩を同時推定する新たな逆解析モデルの開発に成功している. また,惑星科学班(A02-2)・小池公募班・堀公募班・長尾公募班などと共同することで,シンポジウムや学会セッションを積極的に主催し,データ駆動型解析の地球科学分野への浸透にも努めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題発足当初に設定した全ての課題に対して,新学術領域内計画研究間の学融合型共同研究の結果として,査読付き論文が出版されている.今年度においても,地球科学ではNakata et al. (2016, Earth, Planets, Space)など,環境科学においてはNakamura et al. (2016, Chemosphere), 中村ほか(2016, J. MMIJ)など,物理学においてはOkamoto et al., (2015, Physical Review E)など順調に成果が出つつある.これらの研究を含め,地球科学プロセスを効率的に抽出するデータ駆動型解析手法が多数開発されつつある状況である. 上述の研究進展にあわせ,領域内地球科学関連班との密接な連携により,本領域が主催する研究シンポジウム(たとえば,スパースモデリングが生み出す自然科学ビッグデータ革命/公募説明会2015年9月14日,徳島大学工業会館)や国際・国内学会セッション(たとえば,AOGS2016 ’Data-driven modeling’, 5 Aug. 2015, AOGS2015, Singapore,日本地球惑星科学連合大会2015地球惑星科学データ解析の新展開:データ駆動型アプローチ2015年5月27日,千葉県)では多数の参加者を集めており,当初予定よりも早く順調に「データ駆動科学」が地球科学分野に浸透・定着しつつあるといえる.さらに,新聞報道(「宇宙や津波,数学で迫る-少ないデータで「本質」解析-」 2015年5月3日,日本経済新聞朝刊)やテレビ(「情報科学の名探偵! 魔法の数式スパースモデリング」,2015年8月23日,NHK Eテレ サイエンスZERO)などのアウトリーチも積極的に実施している. したがって,当初研究目的に対して当初の計画以上に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように,現在までの研究進捗が順調であることから,平成28年度以降も前年度に引き続き,【課題1】【課題2】【課題3】,および,新たに設定した【課題4】を並行して実施する.各課題の推進方法としては,これまで通り,領域内計画研究・公募研究班との共同研究を軸におき(スパースモデリング班(B01-2)・物理モデリング班(B01-3)・非線形班(C01-1)・堀公募班(A02)など),課題解決に努める. データ駆動科学の地球科学分野への浸透・定着を目指し,国際・国内学会セッションを積極的に企画する.さらに,浸透を加速するために,地球科学分野の若手研究者や学生を対象にした研究集会や勉強会を実施することで,データ駆動科学の人材育成を図る.
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[Journal Article] Three levels of data-driven science2016
Author(s)
Yasushi Igarashi, Kenji Nagata, Tatsu Kuwatani, Toshiaki Omori, Yoshinori Nakanishi-Ohno, Masato Okada.
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Journal Title
Journal of Physics: Conference Series
Volume: 699
Pages: 012001 - 1-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Three Levels of Data-Driven Science2015
Author(s)
Y. Igarashi, K. Nagata, T. Kuwatani, T. Omori, Y. Nakanishi-Ohno, M. Okada
Organizer
International Meeting on “High-Dimensional Data Driven Science” (HD3-2015)
Place of Presentation
京都,メルパルク京都
Year and Date
2015-12-14 – 2015-12-14
Int'l Joint Research / Invited
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