2013 Fiscal Year Annual Research Report
スパースモデリングを用いた超巨大ブラックホールの直接撮像
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
25120007
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
本間 希樹 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 教授 (20332166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 太一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20283591)
植村 誠 広島大学, 宇宙科学センター, 准教授 (50403514)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | ブラックホール / 電波天文学 / 干渉計 / イメージング / 疎性モデリング / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スパースモデリングの手法を電波干渉計のイメージング解析に適用して超解像技法を実現し、それを基にブラックホールの直接撮像を実現することを目指している。初年度である本年度は、モデリング班(B01-1班)と協力し、スパースモデリングの中でもLASSOを用いた画像再構成法について検討し、通常の回折限界を超えた超解像イメージングが実現可能であることを示し、モデリング班と共同の成果として英文査読論文として出版した。また、通常の電波干渉計よりもキャリブレーションがより簡単な観測量であるバイスペクトルを用いたイメージング手法についても検討を進め、バイスペクトルから観測ビジビリティを推定してスパースモデリングを適用する手法について、その実現に向けた道筋をつけることができた。今回研究代表者らが開発した手法は国際的にも注目されており、ブラックホールの直接撮像に関係した世界の研究者が集まる国際研究会“EHT2014” (開催地:カナダ)に招待され、今回の成果に関して招待講演を行った。 さらに、電波干渉計の実データに本手法を適用し、期待通りの分解能向上が達成されることも示した。特にブラックホール撮像の重要天体であるM87で史上最高分解能の画像を得ることに成功した。さらに、ミリ波VLBI観測に関連した研究活動も進め、M87などの活動銀河中心核に関する研究成果を英文査読論文として出版した。また、研究分担者が中心となってスパースモデリングの天文学の様々な分野への応用も検討し、変動天体の周期解析やドップラートモグラフィーなどにおいて成果を上げた。 なお、研究遂行に当たっては、若手研究員を雇用してプログラムの作成や評価を中心的に担って頂き、本人のスキルアップと研究を並行して進めている。また、新学術領域内での一層の連携のため分野横断的なワークショップや研究打合せを複数回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究期間内に、本研究計画で設定した3つの主要課題の内、1つ目の課題である新しいイメージング技法の確立に成功し、この方法を英文査読論文として出版した。さらに2つ目の課題として、この手法を実データに適用し、従来法に比べてイメージの質が向上することを具体的に実証した。これらの結果は国際的にも注目されており、当該分野で最も重要な国際会議である“Event Horizon Telescope 2014” (開催地:Perimeter Institute, Canada)にも招待されるなど、国際的にも高い評価を得ている。さらに、3つ目の課題解決に向けた準備研究として、ブラックホール撮像の最重要ターゲット天体であるM87のジェットに関する研究成果など、天文学的研究成果を複数の英文査読論文として出版し、成果の国際発信も十分なレベルで達成した。また、スパースモデリングの様々な分野への応用の検討も進め、ブラックホール分野以外でも着実に成果を出す見通しが立った。また、本研究計画の運営的な観点として、本科研費で若手研究者を雇用して若手のスキルアップと研究推進を並行して進め、また、新学術領域内外の関連研究者との連携も活発に進めた。これらの状況から、本研究計画の達成度は「②おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、1つ目の課題であるイメージング技法の発展として、よりキャリブレーションが簡便な観測量であるバイスペクトルを用いたイメージング方法についてより検討を深め、シミュレーションなどでその効果を実証する。これについては、B01-1モデリング班との連携を継続する。また2つ目の課題である実データへの適用によるブラックホール撮像ついては、これまでに開発された既存の3~7mm帯の電波観測データへの適用を進めるとともに、平成28年度以降取得が期待されるサブミリ波VLBIのブラックホール観測データにも適用を目指す。さらに3つ目の課題については、これまでに得られたM87の最高分解能のイメージからブラックホール近傍のジェットの根元構造の研究を進め、さらにサブミリ波VLBIのデータが得られた際にはブラックホール近傍の時空構造や物理描像の解明を目指す。これらの研究推進のため、平成27年度以降も若手研究者を科研費で雇用して研究を中心的に進めてもらう。また、疎性モデリング関係者との連携や、国際サブミリ波VLBIとの共同研究推進のため国内外で研究打合せを行う。
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Research Products
(12 results)