2016 Fiscal Year Annual Research Report
カーネル法による高次元データの非線形スパースモデリング
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
25120011
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
赤穗 昭太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 研究グループ長 (40356340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 英樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 副研究センター長 (10344194)
末谷 大道 大分大学, 工学部, 教授 (40507167)
日野 英逸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10580079)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 機械学習 / モデリング / 情報幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、カーネル法など非線形のスパースモデリングの数理基盤の確立と実応用への適用を課題としており、今年度は以下の成果を得た。 課題1のマルチモーダルスパースモデリングについては、複数の観測結果を統合する転移学習の観点から、情報幾何的な定式化のもと、e-混合分布の推定という新たな枠組みを提案し、さらにそれをノンパラメトリックな設定に拡張するべくカルバックライブラーダイバージェンスに基づく幾何学的なアルゴリズムを考案した。導出したアルゴリズムは脳波信号の解析に応用した。また、同様の幾何学的なアルゴリズムはトピックモデルと呼ばれる機械学習の低次元化法にも応用可能であり、地球科学データの組成データの解析に適用し、地質学的に重要ないくつかのクラスタの発見に結びついた。 課題2のダイナミカルスパースモデリングについては、徐々に時間変化する遷移行列を定常分布から推定するアルゴリズムを時間変化のスパース性をもとに定式化し、自動車のマーケットシェアの遷移を抽出し解釈することができた。また、脳の記憶の再現性についてランダム結合ニューラルネットワークと正準相関分析を用いたシミュレーションにより集団的な再現性を説明することができた。 課題3については、高次元中に複雑に埋め込まれた多様体を抽出するための要素技術として、多様体の局所次元を推定するアルゴリズムを構築した。高次漸近展開を用いた推定法により、従来法よりも精度が高くなることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1については、情報幾何に関連した新たな枠組みの構築や脳活動データ解析への適用などを行い、研究分野のトップジャーナル (Neural Computation) に採択され、大いに進捗していると考える。 課題2については、さまざまな時系列データの問題への適用を試みた。特に遷移行列推定については Plos One への掲載を達成し、進捗が大きかった。そのほか取り組んでいるいくつかのトピックについても、今後の論文投稿などに向けて順調に進展していると考える。 課題3については、構造的なデータ構造抽出の進展そのものは問題の難しさからなかなか進展が見られなかったものの、その要素技術であるデータからの局所次元の推定について進展がみられている。 総合すると、課題1,2については当初想定した以上の結果が得られているが、課題3についてはやや進捗が遅れているため、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1、課題2については順調に進展しているので、最終年度に向けて論文投稿など成果発信に努める。 課題3については、技術的な困難さもさることながら、具体的に構造的な情報を抽出することが喫緊の課題であるような応用問題が十分見つけられていない部分もある。マテリアルズインフォマティクスなど最近になって進展しつつある分野ではデータの位相構造に基づいた解析手法が必要とされているので、それらとの融合に向けた基礎技術を1年間でできる範囲で計画する。具体的には局所次元推定の技術がそれらの分野に適用できないかを関連研究者と議論しながら探索する。
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