2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Comparative Studies of Ancient American Civilizations |
Project/Area Number |
26101005
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
鈴木 紀 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (40282438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
禪野 美帆 関西学院大学, 商学部, 准教授 (20365480)
井上 幸孝 専修大学, 文学部, 教授 (20399075)
本谷 裕子 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (30407134)
藤掛 洋子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (70385128)
工藤 由美 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 外来研究員 (80634972)
杓谷 茂樹 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90410654)
小林 貴徳 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 助教 (90753666)
生月 亘 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (90300285)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 歴史学 / ラテンアメリカ / 先住民族 / 資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
9月、1月、3月に国立民族学博物館で研究会を開催した。1月と3月は外国人研究者を招聘した。研究代表者の鈴木は、メキシコ国立人類学博物館およびアステカ文明に関する博物館展示の分析を継続した。 生月は、エクアドルの先住民教育政策と先住民文化に関して現地調査を実施した。先住民教育のプロジェクトを参与観察し、先住民教員と意見交換を行った。井上は、植民地時代メキシコのクロニカの分析を続け、サパタやイシュトリルショチトルほかシグエンサなどの歴史書を対象に、植民地期における先スペイン期文化イメージを考察した。 工藤は、チリのサンチァゴ市で二つのマプーチェ組織の民族医療活動の調査を継続した。民族医療を受診する患者にとっての民族医療の位置づけや薬草などについてデータを収集した。小林はメキシコ政府観光開発事業「プエブロス・マヒコス」の展開が地域社会に及ぼす影響を明らかにするため、登録地であるプエブラ州チョルーラとモレロス州テポストランにおいて継続調査を実施した。 杓谷は、メキシコ、ユカタン州のチチェン・イツァ遺跡公園と近隣のコミュニティとの関係性についての調査を行い、比較のために同州のエク・バラム遺跡公園、および中央高原のテオティワカン遺跡公園でも調査を実施した。禪野は、メキシコ市内旧先住民村落の居住者による「過去」の解釈を調べるため、1)サン・ヘロニモ地区の自称「地元民」による「伝統的」なカトリックの祭礼、2)サン・ベルナベ地区で復元されたピラミッド上で行われる新たな儀礼を調査した。 藤掛は、パラグアイの伝統工芸品ニャンドゥティ、アオポイ、エンカヘジュの作り手が考える伝統と買い手が考える伝統、それを仲介する人々の認識のずれについて調査を行った。本谷は、グアテマラ高地の五つの先住民村落において、コマラパ村の一人の女性が生み出した紋様見本帳によって女性の機織りに生じている変化と現状を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の鈴木は、昨年度から実施しているメキシコの博物館展示研究を継続したため、予定していた中米や南米の博物館展示研究に着手することができなかった。他の8名の研究分担者は、ほぼ計画通り中南米諸国に渡航し、資料収集および、参与観察を行った。 研究成果の発表に関しては、3つの学会で分科会を組織した。5月の日本文化人類学会では、鈴木が「過去に学ぶ/過去を活かす:資源としてのメソアメリカ文明 」を企画し、鈴木・小林・杓谷・禪野・本谷が発表し、本研究と同じ新学術領域研究のA02班の青山和夫がコメンテーターを務めた。また10月に東京で開催された第1回メソアメリカ研究者国際会議に、鈴木・井上・小林・杓谷の4名が参加し、研究発表をおこなった。12月にはニュージーランドで開催されたCELAO(アジア大洋州ラテンアメリカ研究協議会)で、鈴木が分科会「未来の資源としての過去:ラテンアメリカにおいて文化の再生のために先スペイン文明はどのように評価されるのか」を組織し、井上・工藤・本谷が発表した。 このように、研究代表者の個人研究に遅れが認められるが、研究組織全体としては、研究の進捗や成果の発表などの面で順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画全体としては、植民地時代から現代までの中南米諸国において、過去がいかに資源化されているかという視点を共有しつつ、研究分担者は各自の研究を実行していく。共同研究会を年に3回開催し、相互の研究進捗状況を把握する。また同じ新学術領域研究の他の研究計画の研究者や、同じ関心をもつ国内外の研究者と意見交換を促進するため、日本ラテンアメリカ学会での分科会や、FIEALC(ラテンアメリカ・カリブ地域研究国際連合)でのラウンドテーブルを組織する。当初の計画通り、年度末には、公開のシンポジウムを実施する。 研究代表者は、昨年度十分に実施できなかった中米、南米の博物館の展示比較研究を進める。
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