2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
26102005
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鈴木 修一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (80433291)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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Keywords | 開殻分子 / π電子系 / π造形科学 / 高スピン分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに本研究者らは、空気中でも取り扱い可能なほど安定な基底多重項分子等の新規開殻pi電子系分子の合成・単離・結晶化に成功し、それらの電子・磁気物性を明らかにしてきた。本研究では、これまでに本研究者らが独自に開発してきた、開殻piユニットであるニトロニルニトロキシド (NN) の直接導入法を利用した自在に開殻pi電子系分子を創成する「自在開殻pi造形」の確立を目指している。具体的には、1.閉殻構造を有する分子群 (閉殻piシステム) を足場とした開殻piユニット直接連結型金属錯体による開殻pi造形、2.NN 直接連結型金属錯体を鍵とした芳香環への開殻piユニット直接導入法による開殻pi造形、3.以上のpi造形法を利用した新規マルチ開殻piシステムの合成を目指した開殻pi造形を展開を行った。同時に、領域内で造形されるあらゆるpiシステムを用いた開殻pi造形も検討した。本年度に実施した研究の成果を以下に示す。 1.に関して、ホスフィンを含む閉殻π電子系を配位子に用いて、金(I)イオンを利用することで、迅速かつ効率的に NN ユニットを導入する方法を見出した。2.に関して、特異な電子構造を有するπ電子系分子のヨード体に対してNN の金(I)錯体を用いたクロスカップリング反応を用いることで、比較的簡単に特異な開殻piシステムの合成を達成した。3.に関して、イミノニトロキシドラジカルを配位子とする三核金錯体の合成を達成し、特異な磁気挙動を示すことを明らかにした。また、基底五重項を有する新奇なテトララジカルカチオンの合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の合成法では困難な各種開殻pi電子系分子に関して、比較的短段階で合成する手法を確立しつつある。その合成手法の検討中に、予期しない種々の特異な開殻pi電子系分子が得られることも分かってきた。また、いくつかの開殻分子に関して、積極的に領域内での共同研究を進めている。以上のことから本研究計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究者とともに開殻piシステムの合成法に精通した 4 名の大学院生とともに開殻pi造形の要素技術の発展を目指す。また、本年度に確立してきた手法や合成してきた開殻分子システムを用いて、本領域内での共同研究を積極的に進める。 1.閉殻構造を有する分子群 (閉殻piシステム) を足場とした開殻piユニット直接連結型金属錯体による開殻pi造形:ホスフィン配位子と金(I)イオンを用いた合成法を基盤として複数の NN ユニットを迅速に導入する方法の確立を目指す。 2.NN 直接連結型金属錯体を鍵とした芳香環への開殻piユニット直接導入法による開殻pi造形:特異な閉殻pi電子系、特に電子ドナー性が高い分子や本領域で合成される新規閉殻pi電子系分子に NN ユニットを導入し、その物性を検討する。 3. 新規マルチ開殻piシステムの合成を目指した開殻pi造形:1.および 2.で開発される手法と本研究者等らのこれまでの知見を駆使することで、複数の開殻ユニットが協同的に相互作用した新規マルチ開殻piシステムを発展させる。
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[Journal Article] Direct Observation of Hole Shift and Characterization of Spin States in Radical Ion Pairs Generated from Photoinduced Electron Transfer of (Phenothiazine)n-Anthraquinone (n = 1, 3) Dyads2014
Author(s)
A. Karimata, S. Suzuki, M. Kozaki, K. Kimoto, K. Nozaki, H. Matsushita, N. Ikeda, K. Akiyama, D. Kosumi, H. Hashimoto, and K. Okada
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Journal Title
J. Phys. Chem. A
Volume: 118
Pages: 11262-11271
DOI
Peer Reviewed
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