2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
26102010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80344969)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 分子集合体 / セルフソーティング / ナノ構造 / 水素結合 / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、準備段階としてπ造形科学で当該研究者が行なうべき研究の基盤形成に努めた。当該研究「複合アセンブリーπ造形システム」においては、複数の分子集合体を同一系内で構築し、外部からの刺激によってそれらの物性・機能が互いに影響を及ぼし合うようにスイッチングさせる必要がある。そこで、まずはこれまでに当該研究グループで開発して来た様々な分子集合体の自己・非自己の認識に関して精査した。 ナフタレンをπ部位に有する水素結合性分子の位置異性体(2種)に関して様々な条件における自己・非自己の認識に関して調査を行った。本予算によって新規に購入した動的光散乱装置を用い、2種の分子のメチルシクロヘキサン混合溶液中で形成される分子集合体のサイズを見積もったところ、両者は自己を認識し、別々に会合していることが明らかになった。さらに、分子集合体のナノ構造をAFMにより分析したとところ、両者が単独状態で形成する円環構造(ナノリング)と筒状構造(ナノロッド)の混合物が観察された。 そこで、溶液を加熱して分子分散状態とし、急速に冷却することで自己の認識の時間発展性(動的挙動)を精査した。その結果、本系は急速冷却することで非自己を認識して無定形の集合体を構築するが、時間の経過とともに自己を認識して別々の分子集合体を構築することが明らかになった。さらにNMRを用いた調査により、急速冷却によって位置異性体が混合できるのは、水素結合相互作用による超分子形成が優先して起こるためであることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ほぼ半年で今後研究を重心的に推進すべきシーズが見つかったため、研究は当初の計画よりも順調に進展していると言える。また、概要で述べた研究の他にも光で円環構造が開環する分子集合体を与える分子デザインや、時間によって自発的にナノ構造が変遷する分子集合体を与える分子デザインを見出すことにも成功しているため、当該年度の達成度としては当初の計画を大幅に上回っていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、概要で述べた混合系における時間発展性のキネティクスについてA02班の竹内・杉安らと議論を重ねて精査して行く。また、A02福島らの得意とするX線構造解析により、ナフタレン誘導体が形成する分子集合体の内部構造に関して詳細に検討する。さらに、A01班の合成する特異な分子に関しても、上記と同様の分子デザインを施し、混合系分子集合体を構築する予定である。一方、A03の杉本らと協同してそれぞれの分子が形成する水素結合性会合体のDFT計算等による構造安定化を行い、自己・非自己の認識のメカニズムに関してさらに詳細に検討していく予定である。
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Research Products
(8 results)